もちろん、パソコンメーカーもウィンドウズ8のタッチパネル機能を活かし、画面を倒したりキーボードを切り離したりしてタブレットとしても使えるノートパソコンの新型モデルを続々と販売しているが、ユーザーの満足度は必ずしも高くない。
「ウィンドウズ自体がタッチで何でも操作できるようには作られていませんし、タッチに特化したアプリも多くありません。だから、デスクトップアプリをわざわざインストールしなければならなかったり、専用ペンが必要だったりと、結局、どっちつかずのモデルになってしまっているのです。
新型モデルの中にはノートパソコンとしてもタブレットとしてもしっかり使える魅力的な商品もあります。薄型で重さも1kg台と軽量化していますしね。その軽さにはビックリしますが、値段も20万円以上と驚きです。『アンドロイドOS』のタブレットが2万円前後で買えることを考えると、そこまでお金を出して幅広い用途のパソコンが必要なのかという選択肢にもなってくるでしょうね」(前出・安蔵氏)
こうしてみると、キーボードを使った長い文書作成や莫大なデータ保管などが必要な法人用を除き、パソコンは次第にモバイル機器や高速通信端末に収れんされていくのかもしれない。
「音声入力機能の高度化や、人の動きに対応して反応するウェアラブル機器の開発も目覚ましい中、今後はキーボードやマウスがなければコンピューターを使えないという人も減ってくると思います」(安蔵氏)
“パソコン離れ”を衰退と捉えるべきか、形を変えた進化と捉えるべきか――。使い勝手の善し悪しを含め、慎重に見極めていく必要がありそうだ。