そもそも米中は基本的に過去100年に亘って友好関係を保っており、朝鮮戦争やベトナム戦争はあっても直接干戈を交えたことはない。米国は「日米安保」の建前上、尖閣を巡る中国側の動きを牽制しているが、軍事対決するつもりなど毛頭ないのだ。
尖閣や竹島問題以来、米国では中韓の反日政策を支持する動きが強まっている。米政府が靖国や従軍慰安婦問題で中韓と歴史認識の歩調を合わせているのは、日米戦争における自国の不都合を隠蔽し、日本の台頭を封じ込めるのに好都合だからだ。戦前から今日に至るまでの謀略史を紐解けば、米国が基本的に中韓と同じスタンスの対日感情を有していることが理解できる。
米国は過去の日米戦争における真珠湾奇襲攻撃や特攻隊の玉砕などを「非人道的行為」として批判し続けてきたが、自分たちが行なった原爆投下や日本本土への無差別爆撃に関しては一切口を閉ざしたままだ。
それどころか多くの米国人は、「日本が卑怯な奇襲攻撃をしたのだから、米軍による非人道的行為は当然許されるべき」と考えている。一般人だけではなく、政治家や対外政策を立案するオピニオン・リーダー、有識者と呼ばれる人々も同様だ。2001年9月11日の米・同時多発テロを受け、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が「これは戦争だ。真珠湾を奇襲した日本海軍を思い起こす」と述べたことがそれを物語っている。
※SAPIO2014年7月号