不況の折でも、知恵と工夫で稼げることを実証するのが、直木賞作家・志茂田景樹氏の息子・下田大気氏だ。高校時代に芸能界入りするも挫折、実業家や芸能事務所の経営に手を出すがうまくいかず、2009年10月にタクシー運転手として再出発した下田氏。すると入社1か月で営業収入は300人中トップに、3か月目からはなんと月100万円を稼ぎ出す快挙を成し遂げた。下田氏にその秘訣を聞いた。
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タクシー運転手がお客さんを捕まえる手段は、「無線配車」、「流し」、特定の場所でお客を待つ「付け待ち」の3つ。この中から自分の得意パターンを見出すことが大切です。
僕は昔から夜遊び組でタクシーを頻繁に利用していたので、人が多い乗車ポイントを知っていた。ですから「付け待ち」が得意戦法だったのです。
自分だけが知る乗車ポイントを50か所ほど頭にインプットしていましたから、時間帯によってポイントをリズムにのって移動し、その途中の「流し」でお客を拾っていました。限られた時間で成果を出すには、いかに空車時間を減らすかに尽きます。
それから、曜日によって苦手な日を作らない。誰でも金曜夜は稼げることは知っているので、金曜に働いて土日は休むシフトがいいに決まっています。しかし、会社は運転手が公平になるようにシフトを組むので、土日は嫌だとはいってられない。
曜日ごとの傾向を分析するのに役立つのが業務日誌です。読み込むといろいろなことが見えてくる。
例えば、土曜朝の新宿歌舞伎町は鉄板です。「眠らない街」の朝帰り客が狙える。これが平日だと郊外に送った後、主戦場の都心に戻るのに渋滞に巻きこまれるので、得策ではない。
日曜日だと、行楽帰りのファミリー層が「疲れたし、タクシーで帰ろう」と利用してくれるので、すぐに都心に戻らず、郊外の駅の付け待ちを狙います。こうしたデータを蓄積するかどうかで、稼ぎが変わってくるんです。