2010年から続く猛暑が今年は途切れるかと思われていたが、やはり暑くなると予報が出た。暑さだけが理由でもないだろうが、数年前から「そうめん」への注目が高まっている。専門料理店が人気を集め、7月7日には日清食品から初めて「そうめん」を使用したカップラーメンが発売される。家庭料理としても和風だしのめんつゆ以外の食べ方が広まり、スーパーマーケットにはカレーやトマトクリームなど、様々な味のめんつゆが並んでいる。
料理研究家の吉田三和子さんは、直径1ミリほどの細いパスタ、カッペリーニを使った夏向けレシピがさかんに紹介されたことをきっかけに「そうめん」の食べ方が拡大したのではとみている。
「5年ほど前にカッペリーニを使った冷製パスタを料理教室で初めて紹介したところ、後日、生徒さんから『そうめんでつくってもよいでしょうか』と質問されました。同じような細さの、似たようなもので代用しようと考えたのだと思いますが、今では最初からカッペリーニを『そうめん』でつくるレシピが当たり前のように数多くあります。カッペリーニをきっかけにして、今までとは違うそうめん料理がつくられるようになったと思います。
専用パスタなどと比べると安価で、うどんに比べるとすぐにゆであがり手軽なのが『そうめん』です。もともと身近な食材ですが、具材をたくさん載せて食べる“ぶっかけ冷やしめん”の食べ方が広まり、飽きずに食べ続けられるようになりました。手軽でおいしく、食べやすいから『そうめん料理』が流行するのもわかります」
そうめんの食べ方といえば、ボトル入りの濃縮めんつゆを薄めて使うのが約20年前から定番だった。ところが今では、様々な味つけを楽しめるレトルト入りのめんつゆが数多くある。
たとえばイタリア料理風の「そうめんdeパスタ えびトマトクリーム」(キッコーマン)や「まんぷくそうめんつゆ こく旨カレー」(永谷園)、「サラダ涼麺つゆ」(カゴメ)は野菜を載せてドレッシングのようにめんつゆを使う。具材入りの「冷やしぶっかけ麺の素 さばつゆ」(ニッスイ)や「完熟栗かぼちゃの冷製かけつゆ」(ヤマキ)など、一昔前なら考えられなかったような味も並ぶ。
食べ方の種類が広がり、なかには具材入りもあることから夏バテ対策にそうめんを利用する人もいるだろうが、そうめんだけでは栄養失調に陥ることがあるので要注意だ。