Vシネマ誕生から今年で25年。一口にVシネマといっても、そのラインナップは多彩だ。「Vシネマ通」を自任するノンフィクション作家・谷岡雅樹氏が、「これだけは見ておけ! 絶対に外せない鉄板シリーズ」の5作品をセレクトした(「」内はいずれも谷岡氏のコメント)。
◆難波金融伝 ミナミの帝王
……第1作『難波金融伝 ミナミの帝王「トイチの萬田銀次郎」』1992年/Softgarage/監督・萩庭貞明/出演・竹内力、竹井みどり
原作・天王寺大、作画・郷力也の人気漫画を竹内力主演で実写化。1992年の第1作から最後の「土俵際の伝説」(2007年)まで、60作を展開した。
「Vシネマの歴史の中で最も大きな存在感を誇った竹内力の代表シリーズ。強面の萬田なのに、悪党に騙され返済不能になった債務者には“取れるところから取る”と、騙した奴を懲らしめて実質的には手を差し伸べる。いわゆるVシネ版『水戸黄門』のような勧善懲悪の爽快さがある。バブルなど各時代の時事問題も取り入れつつ、ついには寅さんシリーズを超える本数にまで大ヒットした」
◆首領への道
……第1作『首領への道』1998年/GPミュージアムソフト/監督・石原興/出演・清水健太郎、白竜
関西極道界から日本一の首領を目指す主人公・桜井鉄太郎の骨肉の戦いを描く人気シリーズ。全25作。
「極道社会の細部をこれでもかと描写した秀作。清水健太郎演じる桜井の貫禄がものすごい。話が進むにつれ、数々の修羅場を乗り越えてギラギラした顔つきになっていくところも見どころのひとつ。白竜が桜井の名参謀役・越智俊英を好演。兄弟杯を返上してまで桜井の子分となり、冷徹な頭脳でピンチを乗り切る。極道日本一を狙うありがちなストーリーだが、敵対する強烈なキャラクターたちとの息をのむ展開が多く、1本見ると止まらなくなる」
◆新・第三の極道
……第1作『新・第三の極道「勃発 関西極道ウォーズ」』1995年/GPミュージアムソフト/監督・三池崇史/出演・中条きよし、清水紘治
関西極道界を描いた村上和彦原作の漫画を実写化した、全12作の任侠アクションシリーズ。
「後に多くの作品がVシネ化される村上作品だが、その先鞭となったのがこのシリーズ。哀川翔、竹内力、渡辺裕之と共に“Vシネ四天王”と呼ばれる中条きよしの代表作。巨匠・三池崇史監督に始まり、後にはテレビ版『必殺シリーズ』の演出を手がけた津島勝監督なども参加している。津島監督は東映京都撮影所の現場で修羅場をくぐり抜けてきただけに完成度が高い。車の上で殺陣をやったりと、『必殺』的な魅せる構図を取り入れている」