平日の日中は仕事が忙しくてトレードする時間が取れないという悩みを抱える個人投資家は多い。それを一気に解決してくれるのが銘柄選定から発注までやってくれる「自動売買システム」だ。市販のシステムトレードソフトもあるが、自分で独自のソフトを開発している人たちがいる。いわば「独自開発系」トレーダーだ。
コンピューターのプログラミングにそれなりの知識があることが条件だが、たとえばトレード・サイエンス社が無償提供している投資判断プログラム「カブロボ」をベースにすれば、独自のシステムトレードソフトをつくることができる。
カブロボをアレンジした独自のソフトで仮想の運用成績を競うコンテストも開かれている。今まで10回行なわれて延べ約2万人が参加。第1回コンテスト優勝者のカブロボの仮想運用成績は年利回り換算で何と332%に達した。
カブロボ・コンテストに参加した経験がある東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫・准教授が語る。
「すでに個人投資家でも証券会社の注文まで全自動で行なってくれるプログラムを利用して株取引をしている人がいます。最近ではツイッターで話題になっている情報を大量に集めて分析することで、86.7%の精度で日経平均など株価指数の上下を予測できるという研究成果も発表され、システムトレードのプログラムへの応用が考えられている。今後さらに進化したソフトを作成する投資家が登場する可能性は高いと思います」
実は、プログラミングの知識がない一般投資家でもカブロボによる自動取引投資を利用できる。カブロボ・コンテストで優秀な成績を収めるなどして実力が評価された複数のカブロボを組み合わせて株式を運用するファンドが販売されているのだ。
この「日本株ロボット運用投信(カブロボファンド)」は東日本大震災で株式市場が激動した2011年3月に、日本株アクティブファンド、つまりファンドの運用担当者が相場観や運用方針に基づいて、投資する銘柄を選ぶ投資信託393本の中で運用実績1位に輝いたことで話題となった。