消費増税から3か月。昨年販売が好調だった首都圏マンションにはどのような影響がでているのか。東京カンテイ市場調査部主任研究員の井出武氏が解説する。
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今年4月の消費増税前の駆け込み需要、アベノミクス効果などを背景に、2013年は首都圏の新築分譲マンションの供給が増加し、よく売れた年だった。2015年からの相続税の課税強化を見据えた不動産需要も活況を後押しした。都心部では価格の上昇も顕著に現れ、首都圏の新築マンションの一戸平均価格は2007年以来6年ぶりに上昇に転じた。
昨年の首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の新築マンション供給戸数は5万4289戸(前年比17.6%増)と、6年ぶりに5万戸の大台を回復した。特にこの数年、供給の減少傾向が顕著だった千葉県と埼玉県で大幅な回復を見せている。
千葉県では2008年以来となる4000戸超(前年比50.1%増)、埼玉県では2010年以来の5000戸超(同41.5%増)の新規分譲を記録。東京都は2006年以来の3万戸超(同17.7%増)となった。神奈川県は前年比0.2%減だったが、ほぼ横ばいで1万戸の水準を維持している。
一方、駆け込み需要の反動で、消費税が8%に引き上げられた今年4月以降は新築物件の需要が落ち込むのでは?と懸念する向きもある。4月の新規供給や契約率などの集計データが現段階ではまだ出てきていないため、はっきりとしたことは言えないが、首都圏の新築マンション市場を取り巻く雰囲気に関しては急激な変化は出ていない印象を受ける。
2015年10月には消費税が10%に引き上げられる見通しであり、それまでは8%のうちに購入しようという動きが出てくることも予想される。仮に市場が本格的に冷え込むとしても、10%への引き上げ以降になるのではないか。
首都圏の市場に関して言えば、2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定したことも追い風になっており、そういう意味でも当面、底堅いと思われる。