投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、7月7日~7月11日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、ウクライナ情勢やイラク情勢に警戒しつつ、米国の求人労働異動調査(JOLT)を見極める展開となる。イエレンFRB議長が注視する9つの雇用関連指標の内、米国雇用統計で5つ、求人労働異動調査(JOLT)で4つが発表されることで、「イエレン・ダッシュボード」の回復状況を見極めることになる。
ウクライナでの和平協議が難航した場合やイラクが内戦に陥った場合は、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
しかしながら、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革を受けて、本邦機関投資家による外貨建て資産への投資が予想されること、米国が軍事介入しない中東の地政学的リスクは、有事のドル買いとなる可能性があることで、ドルの下値は限定的か。
【米国求人労働異動調査(JOLT)】(8日)
9つの「イエレン・ダッシュボード」の内、4つに注目する展開となる。
■労働省雇用統計
1)Unemployment rate(失業率)
2)Nonfarm payrolls(非農業部門雇用者数)
3)Long-term unemployed share(長期失業者の割合)
4)Labor force participation rate(労働参加率)
5)U-6 underemployment rate(広義の失業率)
■求人労働異動調査(JOLT)
6)Job opening rate(求人率)
7)Layoffs/discharge rate(解雇率)
8)Quits rate(退職率)
9)Hires rate(採用率)
【地政学的リスク】
中東はラマダンの最中だが、アルカイダ系の武装組織「イラク・シリア・イスラム国」がイスラム国家の樹立を宣言しており、マリキ・イラク政権に対してオバマ米大統領とプーチン露大統領が支援していることで、予断を許さない状況が続く。
中東の地政学的リスクが拡大した場合、原油価格が上昇することで、原発稼動停止で原油輸入の依存度が高い日本経済にはマイナス要因、貿易赤字の拡大により円安要因となる。
ポロシェンコ・ウクライナ政権と親露武装勢力との和平協議が難航した場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
【6月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録】(9日)
米国連邦準備理事会(FRB)は、出口戦略に向けた試験的な「リバースレポ」を、第1・四半期に2421億ドル、第2・四半期末に過去最大規模の3395億ドルを実施した。6月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、出口戦略に向けた議論の有無を探ることになる。
7月7日-11日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。