休日の散歩中にふらりと入った昼時の蕎麦屋。通を気取って、まずは天ぷらをツマミに冷酒を一杯──。多くの人が羨むだろう粋なひとときだが、その行為は「アルコール依存症」と見なされかねないのだという。
“そんなバカな”と驚かれるかもしれないが、厚労省や全国の医療機関、製薬会社などのHPで紹介されている「診断テスト」では、そう診断されてしまうのだ。その驚きの基準を見てみよう。
まず、質問されるのは「最近6か月の飲酒習慣」だ。男性版には10の質問があり、それぞれに「はい」「いいえ」で答える。
1項目でも当てはまれば「アルコール依存症要注意群」、4項目以上だと「依存症の疑いがある」と判定される。
たとえば「朝酒や昼酒の経験が何度かある」。ゴルフ場の昼食時にビールを飲むゴルファーは珍しくないが、その人たちはもれなくアウトだ。
続いて「酒を飲まないと寝付けないことが多い」。寝酒の習慣がある人はもちろん引っかかる。この2つの質問は少なからぬ人に当てはまるのではないか。
設問では、飲酒に対する意識も問われる。たとえば「飲まない方がよい生活を送れそうだと思う」。確かに深酒して二日酔いの日には、誰だってそう考えるだろう。また、読者諸氏の周囲に「酒を飲まなければいい人なのに」といわれる同僚や友人は、1人や2人ではないはずだ。ましてや「食事を1日3回、ほぼ規則的にとっていない」なら、酒を飲んでいるかどうかにかかわらず依存症の疑いが濃くなってしまうというのはどうにも解せない。