バブル崩壊後、多くの企業でコストカットが命題となる中、社員の待遇や生活を軽視した利益至上主義の企業が急増。2013年の「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10を受賞するなど、私生活が崩壊し健康を害するような長時間労働、将来設計が立たない低賃金で若者を使い捨てる「ブラック企業」が話題となって久しい。そうした影響を受け、仕事や職場環境が原因でうつ病を発症する人や休職者も増加。「職場うつ」として社会問題になっている。
しかし、現在の仕事や職場に不安や不満があっても、厳しい就職活動を経験し、引き続き不安定な経済環境にいる20代、30代にとって、転職という選択肢に踏み出すことをためらう人は多い。就職活動支援サービス大手・リクルートキャリアが運営する求人情報サイト、リクナビNEXTの調べによると、「自分に合っている仕事に出会ってみたいと思う」20代後半のビジネスパーソンは85%だが、「自分に合っている仕事に出会えるとは思わない」という人は56%。「働き方」について漠然とした不安がある若者は過半数を超え、多様な「働き方」を知るための機会を求めている人も多いようだ。
こうした中リクナビNEXTは、7月7日に都内某所のバーで、若者の働き方相談を受けるイベント「ぼくらの働き方の可能性が広がる夜」を実施。イベントではまず、自らも転職経験があり、若者の「働き方」事情に詳しい3人のゲスト、元衆議院議員でニートやフリーター問題に取り組むタレントの杉村太蔵さん、大人向けの就業体験を「旅行」という形で提供する仕事旅行社 代表取締役の田中翼さん、生きるように働く人の求人サイトなど多くの「働く」にまつわるプロジェクトを手がける日本仕事百貨代表で、シゴトヒト 代表取締役のナカムラ ケンタさんによるトークショーが行なわれた。
若くして起業したり、議員やタレントになるなど、成功体験を持った3人だが、仕事に対する意識はまさに3人3様。
「お金を増やすことで“人の可能性を広げたい”と考えて金融関係に就職したが、リーマンショックで顧客の資産を減らしてしまい、罪の意識で退職。自分に共感してくれる人と、やりたいことをやる仕事を探して起業しました」(田中さん)
「転勤族の子供で地元がなかったので、“居場所作りをしたい”と考えて不動産会社に就職。仕事へのギャップを感じた際に、上司から『まずはやれ!』と言われて、もやもやした気持ちからバーに通いつめるうちに“その場所にあった人を引き合わす”居心地のいいバーのような求人会社を作りました」(ナカムラさん)
「弁護士試験に落ちて大学を中退し、清掃員のアルバイトから、“縁とチャンス”を生かして、外資系証券会社、衆議院議員、タレントへと転身」(杉村さん)
集まった20代~30代のビジネスパーソンたちも熱心に耳を傾けたり、メモを取ったりする中、とりわけ熱い視線を集めていたのが杉村さんだ。