氷室京介の「ライブ活動休止宣言」が波紋を広げた。海外の有名アーティストではメンバーを入れ換えつつ活動を続けているところが少なくない。日本でも歌舞伎のようにロックアーティストの「2代目襲名」をしてはどうか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考える。
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ミュージシャンの引退、そして2代目制度ということについて考えてみたいと思います
「氷室京介を卒業する」
ロック歌手、氷室京介のライブ活動休止宣言が話題となりました。山口・周南市文化会館公演で発表され、当初はどう解釈していいのか分からず騒然となりましたが、本人のHPでも正式に発表されました。来年のライブをもってライブ活動を休止します。レコーディング活動などは行い、新作は発表するようですが。
ツアーファイナル2DAYSの初日、7月19日横浜スタジアムでは、その理由などが語られました。活動休止の理由は、耳の調子が理由でした。7年前から右耳の調子が悪く、最近は左耳の調子も悪くなってきたとか。これにより、ライブ活動の継続は困難だと判断しました。この日のライブでは「人に寿命があるように、俺にミュージシャンとしての寿命が来たってことかな」と語りました。人気絶頂の時にBOOWY解散を決めた氷室京介らしい、潔い決断だと感じました(BOOWY解散の理由は、未だに謎ですけどね)。
BOOWYのギタリストとであり、解散後、一度も一緒に演奏したことのない布袋寅泰は、ブログ上で、ラスト公演の共演を希望する発言をし、話題になりました。個人的には、夢の共演を見てみたいなと思いつつ、とはいえ、氷室京介は、自分の美学を貫き通すのかなとも思っています。
ここまでは実は前置きで、今回はミュージシャンのキャリア、特に引退について考えてみますね。
53歳での引退宣言(ライブ活動においてですが)というのは、今の音楽事情から考えると、早いように感じます。「ロックバンドの解散とプロレスラーの引退は信じちゃいけない」は大槻ケンヂの名言ですが、そう、結構な数のバンドが再結成し、しかも60代、70代でも活動しているのですよ。
そういえば、ネット上では、今年の秋に来日するプログレッシブ・ロックの雄、イエスの来日公演ポスターが「遺影みたいだ。イエスじゃなくて遺影(イエイ)」「老人ホームの写真みたい」「死神みたいだ」なんていう声を見かけました。いや、客席もきっとそんな感じでしょう。高齢者たちが、バンド活動を続けています。
元々のメンバーは数人でも、自分たちよりも若いメンバーを入れて続けているバンドをよく見かけます。KISSはオリジナルメンバーが2人で、60代の彼らよりも10歳くらい若いメンバーを入れています。DEEP PURPLEもリッチー・ブラックモアが抜けた後、メンバーたちよりもやはり10歳くらい若い、スティーブ・モーズが加入しました。ただ、そのメンバーたちも、いまやおじさんなのですけどね。
QUEENもフレディー・マーキュリーが亡くなった後、ポール・ロジャース、アダム・ランバートなどをゲストボーカルに迎え、活動を継続しています。夏フェス、SUMMER SONICのヘッドライナーとしてのライブを予定しています。アダム・ランバートは32歳。メジャーデビューのきっかけは、『アメリカン・アイドル』というオーディション番組で準優勝したことでした。その際に、QUEENのナンバーを演奏しています。しかも、QUEENのメンバーと一緒に、なのです。ゲストとして番組に参加していたブライアン・メイ、ロジャー・テイラーが彼のボーカルに惚れ込んで、その場でクイーンへの参加を打診したのだとか。