ビジネス

「9月消費回復」は大本営発表 都市部の景況感に騙されるな

――デフレ時代に伸びた企業が軒並み苦戦している状況はどう見るか。

月泉:確かにアパレルでも<しまむら>や<西松屋チェーン>のようにデフレ対応型の業態で、増税後も値上げをしなかったSPA(製造小売り)チェーンは苦しんでいます。単に同じものを安く、コストパフォーマンスばかりを求めるような面白味のない商品は飽きられています。

 要するに値段が安いから売れなくなったのではなく、消費者を納得させるだけの価値や新鮮さがなくなったと見るほうが自然です。北欧雑貨の<タイガーコペンハーゲン>のように、低価格でも新たな価値を提供すれば行列ができるわけですから。

――値上げに踏み切った<無印良品>や<ユニクロ>はどうなるのか。

月泉:やはり消費者が納得するような商品と適正価格なら、引き続き好業績を維持できると思いますが、まだ結果は分かりません。本当の意味で消費増税の影響が表れてくるのは、むしろこれからだといえます。

――小売り各社は、これまで以上に消費者を飽きさせない独自商品の開発が欠かせない厳しい戦いを強いられる。

月泉:高額品が売れているといっても、バブル期のように、べらぼうに高いブランド品を並べて“とぐろを巻く”ように行列ができるなんてことはあり得ません。やはり、消費者の細かいニーズやライフスタイルに合わせて、少し目先の変えた商品を出さなければ淘汰される時代といえます。

 いまでも大手ディスカウントチェーンは、利益を削ってまで安価な品揃えを充実させようと、熾烈な戦いをしています。「消費が1割減れば、コンペティター(競争相手)は3割減る」と必死ですよ。

 とにかく安くしなければ売れなかった時代からは少し潮目が変わったとはいえ、またいつデフレ的な価値観に逆戻りするとも限りません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

百合子さまは残された3人の仲を最後まで気にかけられたという(2023年6月、東京・港区)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン