少子高齢化などの要因もあり、人口減少が深刻な問題だと論じられるようになってからしばらく経つが、なかなか有効な解決策を見いだせないままだ。ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、石川県の川北町を例に挙げ、人口増加を実現させるには巨大公共事業よりも福祉の充実が有効だと提言する。
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日本全国で消滅する可能性がある自治体が896あると聞いた。1800ある市町村のうちの半数近い数字で、なんとも恐ろしい話だ。
これは有識者でつくる民間の研究機関、日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)が2040年までに、子どもを産める可能性のある20~39歳までの女性の人口に着目し、その数が半減する自治体を集計、予測して、こういう結果を導き出したのだ。
人口問題は、自治体の維持をかけた大事な問題だとして、早くから若い女性の流入を促すべく対策を講じてきたところもある。その施策が見事に当たり、人口増加に振れた町があった。
それが石川県の川北町。2000年からは町在住の子どもの医療費を義務教育終了時まで無料にすることにした。さらに今では、高校卒業まで医療費の自己負担をゼロにしている。
また3か所ある保育所の保育料は0歳児で一律2万円。東京などの大都市圏では所得に応じてだが、5~6万円といった保育料がかかることを考えると破格の安さだ。さらに町外に出て行った若い夫婦を呼び戻そうと住宅を建てるなど、福祉の充実で人口増加を実現してきた。
今回の発表では、特に東北の減少が多く、震災後の支援に行っている僕としてはとても心配だ。
岩手県大槌町は68.9%が減少すると予測されている。2010年に1262人いた若年女性は、2040年には393人になってしまう。宮城県松島町は67.5%の減少。気仙沼市も64.7%。釜石市も大船渡市も女川町も60%前後の高い減少率になっている。
調査データを出していない福島県はもっと深刻だと思う。見えない放射能の影響で、福島県の人口減少、若年女性の人口の減少は驚くべき数字の可能性が高い。