原価は1杯につき50円といわれる「立ち食いそば」。おいしいそばの定番である小麦粉を2割混ぜた『二八そば』の真逆、小麦粉8割の『八二そば』(原価30円)と業者の作った濃縮たれ(原価20円)で作った一杯のかけそばを250~300円で売る。ならば、どんな人でも儲けられるのかといえば、そうはいかない。立ち食いそばの収益構造と、安くて美味しい立ち食いそば店を見つけるコツについて、ジャーナリストの鵜飼克郎氏が解説する。
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1杯あたり原価50円と言われる立ち食いそばだが、大衆食文化に詳しいライターの松浦達也氏は「店としては、かけそばばかり頼まれると商売にならないはず」と指摘する。
「すべてのファストフードに共通しますが、家賃、人件費、光熱費などランニングコストを考えると、いかに利益率の高いサイドメニューを食べてもらうかがポイントとなる」
そこで登場するのが、かき揚げやエビ天、コロッケ、イカ天といったトッピングだ。大手チェーンでは稲荷寿司やカレーライス、丼物などのサイドメニューも充実させ、収益アップを図っている。
「天ぷらは野菜が中心で原価は安い。店で揚げればできたて感が出るし、そばの倍の値段が設定できる」(都内の立ち食いそば店店主)
もちろん店によっても異なるが、かけそばの食材原価は概ね、そば30円とダシ20円で50円程度。これにネギやわかめを乗せて250~300円で提供している店が多い。だが、「業務用スーパーで販売されている1枚40円程度のかき揚げを載せれば400円前後で販売できる。天ぷらをトッピングする人は多いので利益率は大幅に上がる」と前出の店主は語る。
「エビ天はさらに利益率が高い。エビは小型のものを仕入れ、切込みを入れて叩いて伸ばす。これに衣をつけてカサを3倍にする。安い冷凍エビは1尾25円程度。かき揚げよりも原価は安く、売値は100円以上高くなる」