推定市場規模5234億円(2014年予測・富士経済調べ)を誇る回転寿司は、1皿100円で寿司を提供する低価格チェーンの台頭もあり、すっかり身近な食べ物として認知されている。
だが、いまや回転寿司は寿司ネタよりサイドメニューで客を呼び込む時代になったといっても過言ではないだろう。
業界トップの『スシロー』(あきんどスシロー)は、数年前から子供連れの主婦や女子高生などの間で「ポテトがうますぎる!」と評判になり、“ポテロー”なる造語まで生まれた。現在、フジテレビ(東京・台場)で開催されている『お台場新大陸』では、バラエティ番組とコラボして、ついにフライドポテトの専門店『ポテロー』を出店させてしまったほど。
また、業界3位の『無添くら寿司』(くらコーポレーション)も、約40種類のサイドメニューを揃えて味自慢に余念がない。
2年前に発売した「7種の魚介醤油ラーメン」は、1000万食を超えるヒットとなったほか、今年は3月に「イベリコ豚丼」を、6月からは「すしやの特上うな丼」を提供。税抜き980円と単品メニューの中で最も高い価格設定ながら、魚介ダレにこだわって評判も上々だ。
回転寿司がここまでサイドメニューにこだわるのはなぜか。回転寿司評論家の米川伸生氏に聞いてみた。
「業界全体が過渡期に差し掛かり、サービス、品質、そしてメニューのマンネリ化といった問題が起きているため、安い寿司だけを提供していては生き残れない時代になったのです。
また、大手チェーンはボックス席を設けるなどして子供から高齢者まで幅広い年齢層をターゲットにしています。そこで、さまざまな消費者ニーズに応えるべく“総合ファミリーレストラン化”して、来店動機を高める戦略に出ています」(米川氏)
だが、サイドメニューも種類だけ増やして味が伴わなければリピーターの獲得は難しい。回転寿司の業界団体関係者はこんな話をする。
「いまはプレミアム流行りなので、多少値段を上げても素材にこだわったサイドメニューがヒットすれば利益率が高まるのです。そのため、プリンやアイスなどのデザートも手抜きをせずに自家製のところが多いですし、食後のコーヒーもコンビニに負けないほど本格派のところが多い」