夏の甲子園で全49代表が登場し、その半分が甲子園を去った。彼らが残した言葉のうち印象的なものを紹介しよう。(取材・文=フリーライター・神田憲行)
* * *
京都代表・龍谷大平安高校・原田英彦監督(センバツ優勝校。春夏連覇を目指したが、開会式直後の開幕試合で敗れる)
「(開会式直後の特有な雰囲気で「甲子園の魔物」にのまれたのではないか)魔物っていわれますけれど、僕は甲子園には神様しかいないと思っています。神様が向こうを向いただけ」
西東京代表・日大鶴ケ丘・秋山翔投手(笑顔で取材に応じる)
「(甲子園の印象は)自分たちの力以上のものを出せる場所。悔いは全く無いです。今日はいつもより球がきれていました」
宮崎代表・日南学園・椨木(たぶのき)翔選手(東邦の1年生投手に抑えられた)
「ストレートの伸びが全然違う。勝負なんで学年は全く関係ありません。ストレートでどんどん押してくる良い投手でした」
大分代表・大分・佐野皓大投手(大会屈指の右腕と前評判が高かったが、5失点で敗れる)
「(相手の印象を聞かれて)まあ……強かったっす」
茨城代表・藤代・竹内悠投手(初回8点を先制するも逆転負け)
「(しばらく顔面を覆って泣く)野手があんなに点を取ってくれたのに、自分があんな無様なピッチングをしてしまい申し訳ないです。初回の8点で守りにいってしまった」
山口代表・岩国・二十八(つちや)智大選手(4番打者ながら無安打に終わる)
「ヒットが打てなくて悔しいです。それしか残ってないです」
和歌山代表・市和歌山・山根翔希選手(満塁で自分に飛んできたゴロをバックホームせず一塁に送球してサヨナラ負け)
「(壁に向かってしゃがみ込んでひとしきり泣いたあと)バックホームだとわかっていました。でもバウンドが変わって思ったより跳ねなくて、グラブを(普通ではない)上からかぶせて取りにいくことになって、頭がパニックになってしまいました。一塁に投げた瞬間、バックホームと思い出しました。自分のせいで負けました」
広島代表・広陵・吉川雄大投手(9回満塁から押し出しサヨナラ四球で敗れる)
「(「満塁で3ボールになって、捕手がマウンドに行ったが、何を話したのか)『ストレートをど真ん中に投げてこい』と言われました。ミットは真ん中に構えてました。でも投げた瞬間、ボールが指からすっと抜ける感じがして……試合後に『悔いはない』といってもらいました」
愛媛代表・小松・宇佐見秀文監督(初出場校、3点差を9回に逆転されて敗れる)
「負けて悔しい反面、選手はよくやってくれたという少しの満足感もあります」
奈良代表・智弁学園・岡本和真選手(高校通算本塁打73本を誇る今大会随一のスラッガー)
「(ホームランを意識した打席はあったか)なにがあってもホームランは意識しないです。ホームラン打っても1点しか入らないので」
島根代表・開星・黒田雅也主将(優勝候補の大阪桐蔭を相手に4点先制するが、ボークで2点を失い逆転負け)
「あれだけボークを取られたのは初めて。全国の舞台はそういう細かいところも厳しいなと思いました」