7月11日は「角打ちの日」だ。「角」は文字が7月11日で構成されていることにちなんで、角打ち愛好家団体である神戸角打ち学会が「角打ちの日」と制定し、全国に広めようと提唱している。
「ただただ角打ちを愛する老若男女が、ただただ角打ちを楽しみたいだけで集まりました」と神戸角打ち学会の伊藤博道さん(65歳、電器メーカーOB)は語る。「特に大掛かりなことをやろうというつもりはないんです。角打ち愛好者が7月11日にそれぞれ自分の行きつけの角打ち店に集まって、午後7時11分に一斉に乾杯しようってことなんですよ。これが全国に広がったら楽しいなと思っているんです」
そんな特別な日に訪ねた店は、大阪は京橋駅にほど近い『岡室酒店』。
「38年目の酒屋、私は2代目で30年目。立ち飲みもかなり前からやっています。でも、あくまで酒屋の立ち飲み屋ですからね。居酒屋とは接客から何からいろいろ違います。そうですねえ、売りといえるのは、来てくれるお客さんのやさしさだけですね」
そう主人の岡室勝則さん(55歳)が語るとおり、立ち飲みなのだが、ふんわりとした雰囲気が立ちこめると評判の、やさしい気持ちになれる店なのだ。
「サラリーマンのお客さんで混みはじめるのは、7時前後からですね」との主人の言葉を参考に、まだ客の姿がちらほらのはずの6時過ぎに入店したのだが、この日はみんなの出足がいつもより早かった。
そして、常連さんのだれもが幸せ酔いの表情になった宵闇が迫りつつある7時11分、「角打ちの日バンザーイ、カンパーイ」と、みんなが思いっきり弾けた。スマホで各地の店に集う仲間たちと写真や情報を送りあいながら、大変な盛り上がりようである。