中国の反日工作は、何も日本が舞台とは限らない。むしろいま、彼らが仕掛ける工作の主戦場は、アメリカである。その実態について、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏がレポートする。
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アメリカでの中国系勢力による反日の動きがまた一段と活発になった。そのロビー工作とは日本の主に戦争がらみの「歴史問題」を利用して、現在の日本への非難や中傷を米側の政府や議会、メディアなどに広げるという活動である。
その実態をみると──中国によるアメリカ国内での反日工作の実行機関には表の存在と裏の動きとがある。
表では中国政府の公式代表である在米中国大使館が中心となる。中国政府は年来、対米ロビーといえば、米側の中国への政策や態度をよくすることに全力をあげてきたが、そのなかには日本への非難や誹謗、つまり反日の側面もある。
近年、この反日の比重が大きくなってきた。
「日本は日清戦争を利用して尖閣諸島を中国から盗んだ」
「軍国主義者の安倍首相は戦後の国際体制の転覆を図っている」
こんな日本糾弾のメッセージをワシントンの中国大使館の崔天凱大使や鄧洪波首席公使が米側の政府や議会を相手に発し続ける。大手米紙に寄稿論文を出す。目的は明らかに日米離反である。日本の印象を悪くして日米同盟を弱体化しようというわけだ。
中国大使館はそのために米側の大手ロビー企業や法律事務所を雇い、反日キャンペーンの代行をも委託する。経費として年間数百万ドル単位の大金が払われる。
中国の反日活動の裏の領域で主役となるのは「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会)という在米の中国系団体である。
1994年に中国系米人の活動家たちによってカリフォルニアを本拠に設立されたが、当初から中国政府とのきずなが深く、その部分は長年、隠されてきた。この時期、中国では江沢民国家主席による愛国反日の教育が本格化し、日本では慰安婦問題での河野談話が出されていた。