ライフ

お年寄りの浴槽での水死 降圧剤が引き起こすリスク存在する

「血圧147は健康か」──健康診断の基準について論争が続いている。かつて70万人を対象とした調査をもとに新健康基準を発表し、このたび『「血圧147」で薬は飲むな』(小学館刊)を上梓した東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏が、その論争に終止符を打つ。

 * * *
 この春、「日本人間ドック学会」が新たな健康基準を発表して大きな話題となりました。血圧、コレステロール、中性脂肪などで従来の健康診断やメタボ健診(特定健診・特定保健指導)で「異常」とされた数値が「正常」とされていたからです。

 ただ、この結果は従来の健康基準を決めてきた日本高血圧学会や日本動脈硬化学会などの逆鱗に触れ、人間ドック学会の発表は「日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの」(日本動脈硬化学会4月23日)と厳しく批判されました。

 しかし、この「新健康基準」は信頼性が高い、とはっきり断言できます。というのもいまから10年前の2004年、私たちの研究チームは全国約70万人の健診結果から明らかになった日本初の「男女別・年齢別の基準範囲」を発表しており、今回の結果と非常に近かったからです。「健康」とされる数値には緩やかな幅があり、また年齢や性別で異なる、という事実を示したデータであり、欧米の基準とも合致しています。

 私たちの調査や今回の日本人間ドック学会の調査によって明らかになったことは、この国ではこれまで、健康基準を厳しくすることによって、本来なら薬を飲む必要がない健康な人が「病人」にされ、薬を服用させられてきたという現実です。

 さらに、医学的見地からいっても、「加齢にともなって血圧が上がる」のはむしろ正常なことです。

 人間の身体で最も血が必要なのは「脳」です。ここは心臓よりも高い位置にあるということで重力に逆らって血流を送り込まなければいけません。しかし、加齢によってその力が衰えます。血管も皮膚のひとつですので、糖化の影響で加齢により壁が硬くなっていきます。弾力性のあるチューブならば弱い水圧でも水は流れますが、硬いゴムホースではそれなりの水圧がなければ水は流れません。つまり、高齢者になったら、ある程度の高い血圧がなければ血が脳までまわらないのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン