国内

原発推進派の大前研一氏「脱原発で現実的な策は30%の節電」

 日本の原子力行政を最も知る大前研一氏は、元原子炉設計者であり、福島第一原発事故直後から状況を正確に分析して当時の菅直人政権にアドバイスを求められた。また、東京電力の要請で原子力改革監視委員会の委員にも就いた。

 同氏は原発推進論者ながら現状のままでの再稼働を厳しく警告し、「原発事故対応を担当する組織を首相官邸に置くべき」と指摘している。

 * * *
 原発事故対応の組織は、原発立地自治体と密に連携し、「事故時にはどの段階でどんな情報を共有するのか」「誰がどのように意思決定するのか」というルールを明確に決めなければならない。そして、ルールに基づいて自治体とドリル(演習)を繰り返すことが必要だ。

 そうした組織運営上の指示・命令系統の仕掛けが確立されていないと、事故が起きた時にどうしようもなくなる。

 ところが、地元自治体の知事たちに聞くと、そうした作業は何らなされていないし、事故時に政府内で自分たちのカウンターパート(共同意思決定者)となるのがどこの組織の誰なのか、問い合わせても返事がないというのである。

 私は原発事故が起きた時の対応について、福島の教訓に基づいた対策案をまとめ、『原発再稼働「最後の条件」』(小学館)に記した。

 その中では「電力会社と行政」「発電所(現場)と本店」「地元自治体と政府」の連携・役割分担のあり方や、事故レベルに応じた「アクシデント・マネジメント(AM)」の具体的な方法について提言した。

 たとえば事故レベルを「事故」「過酷事故」「極限的事故」の3つに分け、地元住民の安全をどう守るかについて「過酷事故」までの段階は「自治体が避難について判断し、国は後方支援する」、「極限的事故」に進展したら「国が意思決定権を持つ」など、レベルに応じた判断主体をはっきり定めることなどを提案した。

 その著書は、政府関係者はもちろん、東京電力をはじめ電力各社のトップや原発立地自治体の知事らにも読んでいただいている。

「ハード面」については関西電力の大飯原発(福井県)などで私の提言をもとに改善されたが、アクシデント・マネジメントなどのソフト面については前述の通り、まったく進んでいない。

 住民の避難計画は地元自治体任せで、原子力規制委員会の審査対象にすらなっていない。

 避難には「時間軸」の考え方が重要だ。たとえば直ちに避難しなければならないのか、1週間以内に避難すればよいのか、いつ頃戻れる見通しなのか、といったことである。福島の事故ではその考え方がなかったから、すぐに戻れると考えた住民らが着の身着のままで避難し混乱を招いた。

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン