日本では時代劇の衰退が言われて久しいが、韓国では大成功を収めている。ところが、その韓国ドラマの時代劇は歴史的にデタラメだと批判も多い。『時代考証学ことはじめ』などの著書がある編集プロダクション三猿舎代表・安田清人氏が解説する。
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韓国で大成功を収めた歴史時代劇だが、ちまたでは、歴史的にはまったくデタラメな内容ばかりだとの批判が高まっている。昨年11月、『朝日新聞』に連載された「歴史とドラマの間(はざま)──時代考証の世界」という記事の第1回冒頭でも「韓流ドラマ」について言及。韓国の淑明(スンミョン)女子大の蔡今錫(チエグムソツク)教授(服飾学)や東京芸術大学の植村幸生教授(民俗音楽学)のコメントを紹介している。
俎上にのせたのはNHK-BSや総合テレビなどで放送された『宮廷女官 チャングムの誓い』と、これもまたNHK-BSプレミアムで当時放送中だった『馬医(ばい)』というドラマで、劇中に登場する衣裳と音楽様式が、いずれも「事実と違う」「時代が合わない」ものだったと結論づけている。
韓国批判論者としても知られる作家の豊田有恒(ありつね)氏は、韓国ブームの遥か昔からの韓国通で、自ら日韓の古代史を研究し、両国民の友好を願って文筆活動をしてきた。そんな豊田氏だからこそ、近年の韓国の日本批判や、韓国政府の対応に強い不満と異論を唱え、ついに批判の矛先は韓流ドラマにまで及んだ。
豊田氏は、とくに自らの関心に近い、古代を舞台とする韓国ドラマを取り上げて、それらのほとんどが、わずかな文献で出てくる断片的な記述(史実)をもとに、まったくのフィクションで膨大な肉付けをして、伝奇ファンタジー的な物語を構築してしまうパターンだと指摘。
もちろん豊田氏自身、小説家であるので、フィクションだからイケナイなどとは言わない。むしろCGを使って、神話や伝説をこういう映像表現にした方が面白かったのでは? と意見したりもする。