今はテレビの天気予報よりインターネットの情報や、スマートフォンの天気アプリが中心という人も多いだろう。複数使用していると気になってくるのが予報の違い。例えば気象庁のデータを使う気象情報と「ウェザーニュース」を情報元とする天気情報では予報が微妙に違うことが多い。差異が生じる理由は、気象庁やそれぞれの気象会社が持っている計算のロジックが違うと気象予報士の増田雅昭さんは解説する。
もとは世界各地にある観測値からスタートして、気象庁が持っているスーパーコンピューターに今後の予測を計算させる。ここまでは気象庁も気象会社もみんな一緒で、スーパーコンピューターがはじき出した要素、場所ごとの気温、風、湿度などを、気象庁や各気象会社が独自の計算式でもう一回計算させて天気予報に直す。そのロジック(計算のさせ方)がそれぞれ違うため、スタートは同じでも予報の差になって現れるのだという。
「高度な計算式でいろいろな気象要素が絡んでくるので具体例を挙げるのは難しいですが、例えば関東で冬に低気圧が近づいてきた時に、地上が何度になるか湿度が何%になるかが計算で微妙に違ってきた場合、気温が1℃なのか3℃なのかで雪か雨かが変わってくるのです。その計算の元となる気温がそれぞれの会社で違ってきた時に、雪の予報と雨の予報と違ってくることがあるのです」(増田さん)
情報ソースの違いによりどうしても出てしまう予報の差異。では、天気予報をうまく使い分けるコツは?
「複数見ることです。2つ3つチェックすることで、カブった予報は確度が上がりますし、もし晴れ、曇り、雨と3つの予報に別れてしまったら、どちらにも対応できるように準備して出かけるといいですね」(増田さん)
気象予報が自由化されて20年。民間の気象会社は気象庁よりも当たる予報をと競って独自のロジックを編み出してきた。
「例えば海外ではいまだに国が出す予報一択の国もありますが、結局そこが間違えたらその国全体が外れということになりますよね。それに一つだけでやっているとどこか怠慢になることもあるでしょうから、競争がある状況はある意味健全なんです。今は各社が高いレベルで精度を競っている状況ですので、その中で、表現の仕方が自分に合った天気予報を見るのがいいと思います。日ごろからいろいろと見て見極めて、普段見るのを3つほど探しておくといいですね」(増田さん)
近年は異常気象でゲリラ豪雨や局地的な雨が増え、天気予報が読みにくくなっているが、天気予報の使い分けで対策できるのだろうか?
「例えば、竜巻を前日から当てろと言われたら無理です。広島の災害の時のように、ごく狭い範囲に激しく降ることを一日、半日前で完全に当てるのは難しいですね。ただ、広島でもそうでしたが、数時間前には予測できていました。その情報をどう活かすかが肝心なのです。ですので、みなさんにもこまめにチェックしていただきたいのです。今はインターネットなどで最新情報が更新されるわけですから、みなさんには数時間に1回、大変でしたら少なくとも1日3回くらい、歯磨きをするように予報をチェックしてください。特に雨の可能性がある時などは数時間おきに頻繁に見ていただきたいですね」(増田さん)