ライフ

焼肉の達人は焼き目にこだわる 網の温度差を活用するのが鍵

 あなたは自分の「焼肉テク」に自信があるだろうか。焼肉番長、焼肉の達人を目指す人に、食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がちょっとしたコツを教える。

 * * *
 「食欲の秋」「実りの秋」という形容を持ち出すまでもなく、秋は食いしん坊にとってのトップシーズン。過ごしやすく食欲が増す、”人肥ゆる秋”でもある。そしてどのみち肥ゆるのなら、少しでもおいしくものを味わいたい。外食ではたいてい店が味を決めるが、食べ手に調理が任される業態ではそうとは限らない。その代表例が、客が調理をする焼肉だ。 

 肉の焼き方は人によって好みがわかれる。それだけに自らの焼きの流儀をつい同じ卓を囲む人に押しつけてしまいがちだ。もちろん最終的には好みの問題にはなるが、焼き台の状態や肉質、肉の厚さに応じた「基本」は間違いなくある。

 まず気を配りたいのは「焼き目」。肉の表面に焼き網の模様がつく香ばしい焼き目は、肉のうまみを増幅させる。以前雑誌の企画で、焼き目のついた肉と焼き目のついていない肉を科学的な分析にかけたことがある。結果、うまみが増幅していたのは焼き目のついた肉のほうだった。焦がしてはいけないが、焼き目はほしい。ならばガスロースターの焼き網のように接地面が多い焼き台のほうが有利だ。また炭火や無煙ロースターの丸い焼き網の店ならば、網目の材が太いほうがしっかりした焼き目がつきやすい。

 基本は強火で表面に焼き目をつける。あとは肉の厚みと肉質に応じて中火~弱火、ときには余熱で内部まで好みの加減で火を入れていく。ガスロースターは、直火が当たる部分の焼き網の温度が約350~400℃、中央の部分が250~300℃、隅のほうが150~200℃くらい。一方、炭火は温度ムラが大きく、カンカンに熾きた炭火だと中央は500℃を超え、周辺は250~350℃程度。炭火から外れたフチの部分は100℃以下ということもあるが、焼きのうまい人は、必ずこうした温度差を活用している。

 例えば、強火ゾーンで焼きを入れると15~20秒程度で肉に焼き目がつくこともある。全面にまんべんなく焼き目をつけたければ、何度か裏返したり、網の上を移動させなければならないが、薄い肉だと軽く表裏を炙った時点で内部がミディアムレアの状態になっていることもある。いっぽう、厚切り肉なら表面の状態がベストに見える焼き上がりになっていても、肉の内部が40℃台で温度が上がりきっていないことも。焼き目をつけた後、中火~弱火ゾーンでじっくり焼いて、内部を好みの温度まで焼き上げたい。

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン