投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、9月29日~10月3日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、9月調査の日銀短観と米国9月の雇用統計に注目する展開となる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額への期待から、ドルは堅調推移が予想される。
リスク要因としては、オバマ米大統領がイスラム国との戦いが36ヶ月程度かかるとの見方を示したことで、地政学的リスク回避の円買い圧力に警戒することになる。
【米国の8月のインフレ率】(29日)
米国の8月のコア個人消費支出(PCE)価格指数(コアインフレ率)は、前年比+1.4%と予想されており、7月の前年比+1.5%からの低下が見込まれている。予想通りならば、米国のインフレ率の低迷を受けて、米国連邦準備理事会(FRB)による早期利上げ観測が後退することになる。
【米国の9月の雇用統計】(3日)
米国の9月の雇用統計の予想は、失業率が6.1%で8月の6.1%から変わらず、非農業部門雇用者数は前月比+21.0万人で8月の+14.2万人からの増加幅拡大が見込まれている。9月の非農業部門雇用者数の最低予想は+14.0万人、最高予想は+31.0万人となっており、8月の修正分とともに、ポジティブ・サプライズに警戒することになる。
【地政学的リスク】
ウクライナ情勢では、ウクライナ政府と親ロシア派分離主義者武装勢力が停戦で合意したものの、欧米によるロシアへの懲罰的制裁が実行されたこと、ロシアによる資産凍結という報復措置を受けて、予断を許せない状況が続く。中東情勢では、オバマ米政権が、シリアとイラク北部のイスラム国への空爆を断行していることで、地政学的リスクによるドル売り要因となる。
【110円の攻防】
ドル・円相場の心理的な水準でもある110円を上抜けた場合、パワー・リバース・デュアルカレンシー債(PRDC債)などの仕組み債に絡んだドルの買い戻し、本邦機関投資家による円高ヘッジポジションのドル買戻しなどが想定される。
9月29日-10月3日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。