美容や健康に効果的な栄養が豊富な牛乳だが、子供の頃や学生時代にはよく飲んでいても、年齢を経るにつれ「あまり飲まなくなっている」人も多いのではないだろうか? 女性の牛乳摂取の重要性について、女子栄養大学講師で管理栄養士の弥冨秀江先生はこう語る。
「女性は閉経すると、カルシウムの吸収力が急激に落ちてきます。60代以降の女性の骨密度が低くなり、骨粗鬆症になりやすいのはこのためです。そのため閉経前から積極的に牛乳を摂り、骨にカルシウムを蓄えておくことが大切。カルシウムには心を落ち着かせる作用もありますから、更年期のイライラ対策にもなります。さらに牛乳には、カルシウムの吸収を助ける乳糖や乳たんぱくが含まれているため、カルシウム吸収率が40%と非常に高く、魚の33%や野菜の19%と比べても、とても優秀なカルシウム源なんです。
他にも乳たんぱくは非常に良質な栄養素で、たんぱく質の品質を示すプロテインスコアやアミノ酸スコアが高く、筋肉を作るのに必要な必須アミノ酸を豊富に含むなど、アミノ酸バランスにも優れています。また、“肌ビタミン”のひとつといわれるビタミンB2、貧血の人に摂って欲しいビタミンB12も比較的多く含まれています。こうした乳たんぱくやビタミンは、細胞の再生や成長を促進して、脂肪の代謝や血流の改善にも関わるため、健康だけでなく美容の面など、女性に嬉しいポイントがたくさんあります」
多くの栄養が含まれているだけじゃなく、それらがバランス良く、手軽に摂れるという点も、忙しい女性に弥冨先生が牛乳を勧めたい理由だという。
「同じ量の栄養成分を他の食品で摂る場合、たくさんの食材や調理時間が必要ですが、牛乳だったら“コップ1杯、そのまま飲むだけ”という手軽さで、バランスの取れた栄養が摂れます。ダイエットなどで、脂質と一緒にたんぱく質も減らしてしまう人もいますが、『いつまでもキレイでいたい』『年を重ねても、肩や腰の痛みに悩まされたくない』と思う女性にとって、良質な乳たんぱくを含む牛乳は魅力的な“天然のサプリ”なんです」(弥冨先生)
しかし、中高年になると、10代の頃のように牛乳をゴクゴク飲むのはちょっと……という人も少なくない。そこで、1日に不足しがちなカルシウムや乳たんぱくを効率よく、美味しく補給できるレシピを、薬剤師の資格を持つ料理研究家・吉田三和子さんに教えてもらった。