中国の習近平国家主席が姉夫妻のファミリービジネスで、李鵬元首相ら党長老指導者から激しい叱責を受けていることが分かった。習氏はやむなく姉夫妻のパスポートを無効にするなど事実上の出国禁止措置をとらざるを得なかったが、姉夫妻の不動産ビジネスなどを止めさせるまでには至っていない。中国共産党の最高指導者であるにもかかわらず、習氏はなぜ姉に頭が上がらないのか?
米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「博訊(ボシュン)」によると、習氏は8月初旬の河北省の避暑地で行なわれた共産党最高幹部の非公式協議である北戴河会議で、李氏らから4歳上の姉の斉橋橋さんと、その夫のトウ家貴氏の海外での不動産ビジネスについて批判を受けた。
夫妻は昨年まで、不動産会社など11社の企業のオーナーだったほか、25社の企業の役員を務めており、不動産物件や株式などを含めた習近平ファミリーの総資産は「少なくとも3億7600万ドル(約400億円)は下らない」と報じられている。
習氏は現在、反腐敗キャンペーンを展開していることもあり、習氏は「姉夫妻にビジネスを止めさせる」と約束せざるを得なかった。このため、海外での不動産取り引きができないように、パスポートを差し止めたのだが、姉夫妻は香港やマカオに出入りし、ビジネスを拡大。これについて、習氏は見て見ぬ振りをしているという。
習氏が姉の橋橋さんに頭が上がらないのは、少年期などでの決定的な負い目があるからだとされる。
習氏の父親、習仲勲氏は副首相を務めたこともある大幹部だったが、1950年代に毛沢東主席に叛旗を翻したとの嫌疑で失脚。学校で習氏らも何かと差別されるようになり、1966年に文化大革命が始まると、父親は反革命分子として激しく批判されるようになった。母親も労働改造所に送り込まれるなど、両親の代わりに、習近平氏と弟の遠平氏の面倒を見たのは長姉の橋橋さんだった。町工場で働いて、家計を支えながら、食事を作り、勉強を教えるなどの世話をしたのだ。