工場では1台のクルマがラインで移動し、各部署でパーツの取り付けや、組み立て、塗装などが順次行われていく。作業者はラインを止めないように一定の作業区間内で規定の作業を行うわけだが、その際にパーツや工具などは台車に載せられ、作業者の近くに常になければならない。台車がクルマと作業者の動きに合わせて自動的に移動してくれたら非常に便利だし、動作ロスも作業者の負担も軽減される。
そこで十数年前に、マツダではラインを流れてくるクルマの動きに合わせて、作業者と台車が床ごと移動する『同期台車』を数百万円掛けて製作した。しかし、比較的小さく軽いパーツや工具などを使用する現場では、床ごと移動するような大規模な同期台車は必要ないため、もっとコンパクトかつ低予算でできる同期台車をからくり改善で作ったのだ。ある台車は、クルマが流れてくるとフックが引っかかり一緒に移動するというもの。さらに進化したものは、ペットボトルの重りによる滑車の原理で、作業が終わると台車が元の場所に自動的に戻る仕組みが付加されたものなどだ。