9月4日、東京・モントレー・バルセロナの3都市でマツダのライトウェイトスポーツカー「ロードスター」4代目モデルが世界初公開され、大きな話題となった。1989年に初代が登場して以来、多くのファンを獲得。2000年には「世界で最も多く生産された2人乗り小型オープンスポーツカー」としてギネスブック認定を受け、現在まで記録を更新し続けている大ヒットスポーツカーだ。
さらに、グローバル販売台数が対前年比6%増の31万9000台(2014年4-6月期)を記録するなど、マツダは業績面でも好調を継続。そんなマツダのヒットを生み続ける風土と好調を支えているのが、その独創的なモノづくり体制にあるという。その現場を取材した。
「マツダでは、企画や開発の場だけではなく、工場の現場においても社員一人ひとりがアイデアを出し合うことで、作業効率や品質を高める“からくり改善”に積極的に取り組んでいます。“からくり改善”によって、ラインで実際に生産する人たちのアイデアを引き出し、チャレンジする風土を育ててきました。
自分たちの手で苦労しながら作業器具などを改善・製作することで、現場や器具に愛着が湧き大切に使用するようになる。故障してもすぐに直せる。水平展開が容易にできる。さらに進化させるアイデアが生まれる。チャレンジ精神が大きくなる、といったさまざまなメリットを実感しています」と、解説してくれたのはマツダ本社工場・主幹の池原浩三さんだ。
からくり改善とは、日本ならではのからくり人形のように、モノの重力やテコの原理、ゼンマイ、カム、滑車の原理などを巧みに利用し、大規模なコストを掛けずに、日常の作業効率を上げ、製造現場におけるさまざまな問題解決に役立てるもの。マツダでは、部内、工場全体、全国でからくり改善を実施し、それぞれの創意工夫を競い合い、これまでに1000点以上の改善を社外にも公開している。