「使える大学」「使えない大学」ランキングが話題だ。なかには母校が「使えない」にランキングされて本気で怒っている人もいる。どう対処すべきか、大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が答える。
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一部の人はいくつになっても学歴の話が大好きです。かつて『大学図鑑!』という本を長く出していましたが、その読者ハガキでは毎年毎年「母校を茶化すような記述をしてケシカラン!」「ウチの大学はもっと評価されているはずだ!」といった熱い声が、たくさん寄せられました。もちろん、貴重なご意見として真摯に受け止めつつ、なぜそこまでムキになるのか呆れ……じゃなくて、感心したものです。
それはさておき、ここ何日かネット上では「週刊ダイヤモンド」10月18日号に掲載された「使える人材を輩出した大学ランキング」が話題になっています(はからずも『大学図鑑!』と同じ版元の雑誌ですが、とくに関連性も他意もありません)。
ビジネスマンに「使える」人材が多いと思う大学と「使えない」人材が多いと思う大学を尋ねて、「使える」から「使えない」を引き算し、その差でランキングを作ったというもの。明らかに適当で根拠のない計算方法で作られたランキングですが、しょせんは“お遊び”ですから、目くじらを立てるようなものではありません。しかし、どうやら“お遊び”としてではなく、正面から受け止めて本気で憤っている人も少なくないようです。
ちなみにそのランキングでは、「使える」のトップ5は「慶応義塾大学」「早稲田大学」「京都大学」「一橋大学」「東京大学」の順。「使えない」のトップ5は「法政大学」「日本大学」「青山学院大学」「学習院大学」「獨協大学」の順でした。いや、怒らないでください。私が言っているのではなく、「週刊ダイヤモンド」に載っていたランキングなので。
あなたの周囲にも、「あのランキングはケシカラン!」と憤っている人がいるかもしれません。本当は「そこまで本気で怒るなんて、よっぽど学歴コンプレックスがあるんですね」とか「そこまでこだわるなんて、学歴ぐらいしかプライドの拠り所がないんですね」と言ってやりたいところですが、図星を突くのはかわいそうだし、怒りの矛先がこっちに向いてきたら面倒です。
「なんでウチが○○大より下(or上)なんだ!」と怒っている人に対しては、「ああ、あれって計算方法に何の根拠もありませんよね」と、まずはランキングを否定しましょう。自分の出身校がはるかに下位か影も形もなかったら、「こういうランキングで上位に出てくること自体がうらやましいですよ。ウチなんて……」とちょっとスネるのが有効。この手の話題が好きな人は、自分の出身大学に素直に誇りを持っていたり、嘆くことが遠まわしな自慢だったりするので、それなりに自尊心をくすぐることができます。