「女性が輝く社会」を掲げて5人の女性閣僚を起用した安倍改造内閣だが、その目玉大臣たちに相次いで不祥事が持ち上がっている。松島みどり法相が選挙区で似顔絵入りうちわを配り、国会で公職選挙法違反だと追及された。それに加えて都内に自宅を持つ議員には入居が認められていない議員宿舎に「特例」で住んでいた問題も発覚した(10月20日に辞任)。
そして、山谷えり子・国家公安委員長はヘイトスピーチで知られる団体の元幹部との記念撮影を批判され、高市早苗・総務相は議員会館でホロコーストを否定する反ユダヤ主義のネオナチ団体「国家社会主義日本労働者党」代表と日の丸を背にしたツーショット写真を撮影し、広告塔に使われていたことが英国紙ガーディアンに報じられた。両氏とも「知らなかった」と言い逃れるが、欧米なら即座に辞職もので、それをかばう安倍政権の国際信用は地に堕ちた。
無傷と思われていた「政権のマドンナ」小渕優子・経産相にも重大な政治資金疑惑が浮上した。小渕氏の政治資金報告書によると、後援会女性部の観劇ツアーを開催した際、参加者から集めた収入よりケタ違いに大きい金額が劇場側に支払われており、破格の安さで芝居を見せた有権者への「買収」にあたるのではないかと週刊新潮(10月23日号)が報じた(10月20日に辞任)。
女性大臣たちは躍進して輝くどころか早くもメッキが剥げてしまった。
スキャンダル以上に問題なのは、彼女たちが「女性の社会進出」に逆行する言動をとってきたことだろう。首相は2020年までに社会で責任ある立場に立つ女性の割合を30%に高めるという「2030」運動を提唱し、「すべての女性が輝く社会づくり本部」を立ち上げ、今国会に女性活躍推進法案を提出する方針だ。
ところが、担当の女性活躍相に起用された有村治子氏は、雑誌で〈両親が責任あるポジションに就いて仕事を続け、十数年以上たって家族機能が破綻し、親子関係において修羅場を経験している方々も、実際には少なくありません。(中略)「ひたむきに働いた結果、家庭機能を失う」というのは悲しむべき、とても皮肉なことです〉(季刊誌ロゼッタストーン2006年6月15日号)と、むしろ男女の役割分担を主張してきた人物だ。