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加藤茶の挑戦から40年 日本人のギャグはエロに寛容になった

「ダメよぉ、ダメダメ!」。お笑いにみるこの国のギャグセンスの進化とはなにか。コラムニストのオバタカズユキ氏が考える。

 * * *
 仕事場の真向かいに幼稚園がある。ぴーちくぱーちく賑やかなのは今に始まった話ではないが、先日の昼下がりに、ちょっとびっくりさせられた。

 子供の迎えにやってきた三十代半ばぐらいのお母さんが、おそらくまだ年少組であろう娘さんと、園の出入り口付近で次のようなやりとりを開けっぴろげにしていたのである。

お母さん「ねぇ、いいじゃないのぉ~」
幼稚園生「ダメよぉ、ダメダメ!」
お母さん「ちょっとお店屋さんに寄るだけよ、ねぇ、いいじゃないのぉ~」
幼稚園生「ダメよぉ、ダメダメ!」
まわりのお母さんたち「ダメダメ!(一同爆笑)」

 説明するまでもないが、現在ブレイク中の日本エレキテル連合のネタが活用されていたのである。初老の男がアンドロイド(=ダッチワイフ)の「未亡人朱美ちゃん3号」を口説きにかかるディープなエロ系ナンセンスギャグ。それを白昼堂々と公共の教育施設である幼稚園の前で、母と娘が真似て見せ、他の母たちも笑っていたわけだ。もともとシュールなネタが、ここまで公的かつ日常的なシーンで展開されると、どう眺めていいものやら距離感が分からなくなった。

 もちろん、「ダメよぉ、ダメダメ!」が小学生の間で大流行し、未就学児までもが真似るようになったのは、それがディープなエロだからではない。フレーズが日常の中でも使いやすく、独特の抑揚を真似るのが面白いからにすぎない。だから子供たちが「ダメよぉ、ダメダメ!」を口にするのはいけないことでも困ったことでもない。

 ただし、だ。子供たちの間でいくら大ブームでも、ダッチワイフの真似に興じるわが子を目前にした際の親の心持ちは、さすがに穏やかじゃないだろう。理屈を超えた嫌悪感が沸き起こり、「そんな真似はしないの!」と怒鳴りつけるものだろう、と思っていたのである。

 ところが、私が目撃したお母さんは違った。違ったどころか、子供とネタでじゃれていた。さらに、そのママ友たちも眉をひそめたりしないで、一緒に「ダメダメ!」遊びを楽しんでいた。

 そりゃあ、私は生理的にダメです、というお母さん方もいるはずだ。が、あのギャグでテレビ局にクレーム電話殺到という話は聞いていない。加藤茶が場末のストリッパーを題材にして、「ちょっとだけよ。あんたも好きねぇ」というギャグを大流行させたときは、全国のPTAの逆鱗に触れ、社会問題になったのに。真似をした子供の多くは親に頭をひっぱたかれたのだが。

 あれから、40年ほどが経った。そして、この国のお母さんたちは、当時とは比較にならない高度なお笑いリテラシーを身につけていた、ということか。

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