朝日新聞の慰安婦虚報の最大の禍根の一つは、その嘘が世界各国で“真実”として広まってしまったことにある。現在、佳境を迎えた米カリフォルニア州フラトン市での「慰安婦像設置」を巡る論争はその象徴である。在米ジャーナリスト・高濱賛氏がレポートする。
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人口の11.5%を韓国系住民が占めるフラトン市。慰安婦像設置も韓国系住民が推進してきた。だが、同市在住の日本人女性が設置反対の運動を始めたほか、堀之内秀久ロサンゼルス総領事は、チャーフィー市長や市議、博物館理事、地元メディアと精力的に面談し、設置撤回を訴えた。
そうした日本側の「反転攻勢」の背景には、朝日新聞が慰安婦報道の虚報を認め、謝罪したことが影響している。同時にそれは、一部とはいえフラトン市の「良識派」にも影響を与えた。不幸なことではあるが、慰安婦制度は第2次大戦中、少なからぬ国に存在していた。日本が強制連行をしたという事実がなければ、慰安婦は日本だけの問題ではなくなるからだ。
ジャーナリスト出身でフラトン市の唯一の地元紙「フラトン・オブザーバー」(月3回発行)の発行人を務めるシャロン・ケネディ氏は、「朝日新聞が記事を撤回したことは把握しているし、その誤報に基づく情報が世界を駆け巡っていることも理解している」と話したうえでこう続けた。
「戦争の際に多くの女性が酷い目に遭ってきたことは許されない出来事だと考えるが、それは特定の国や軍隊の問題ではなく、多くの国で起きた悲劇です。批判するのであれば、アメリカもまた多くの恥ずかしいことをしてきたことを反省しなくてはなりません。
女性への人権侵害に限らず、日系人の強制収容や黒人を奴隷として強制的に働かせてきた歴史もある。そうしたことを正当化している一方で、他国(日本)だけを批判する資格はないと思います」