「全裸のとき、私はもっともエネルギーを感じ、脳と身体の信号がとてもスムーズに伝わります。服を着ていると束縛されてしまって、精神と肉体が解放されない。裸だからこそ、日々の生活の中の刺激を敏感にキャッチできるのです」
先ほどミロがバスルームで見せた恥じらいを思い出しつつ、全裸パフォーマンスに対する羞恥や抵抗について質問した。
「アートを制作するときに恥ずかしさはまったくありません。その瞬間、私はアーティストそのものだから。私が育った自然主義的な環境も影響が大きいと思います。スイスやドイツでは、裸で暮らすヌーディズムが広く浸透していますからね」
そんなミロだが、幼い頃はシャイだったという。
「物心ついた頃に、女性器を人に見せることに恐怖感を抱くのはなぜか、と考えるようになりました。やがて、この恐怖を克服することが私の挑戦であり、アートそのものになりました」
彼女にとっての芸術は「Symbol(象徴)」「Body language(身振り手振り)」「Socialization(社会化)」の3つの要素からなる。作品ごとに象徴的なテーマ(例えば「誕生」)を設定し、肉体を使って表現し、人前で芸術として完成させる。それらを一体化させた表現手段が全裸パフォーマンスなのだ。
※週刊ポスト2014年11月7日号