中国のパクリ遊園地は失笑とともに知的財産権無視の姿勢が強く批判された。はたして中国人の権利意識は変わったのか。ジャーナリスト・西谷格氏が中国の最新型遊園地に“キャスト”として潜入した。
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寿司屋のバイト(前々号)、反日ドラマへの出演(前号)に続いて編集部から与えられたミッションは、「パクリ遊園地で着ぐるみを着て働いてこい」というものだった。しかし、ここ数年この手の遊園地の話はなりを潜めている。今の中国は国際化が進み知的財産権の意識が根付いたということなのだろうか。
いや、そんな短期間で中国が変わるわけがない。中国語サイトを丹念に検索していると、何やら怪しげな画像が目に飛び込んで来た。来場者と戯れる着ぐるみの姿は、明らかにディズニーアニメ「白雪姫」の7人の小人。後方には、目つきのおかしいドナルドダックもいる。その場所は山東省煙台市蓬莱にある「欧楽堡夢幻世界(英語名・ユーロパーク)」。北京と上海の中間に位置する沿岸地域だが、最寄りの都市までバスで2時間半という田舎町だ。
そんな田舎の遊園地に、何の縁もゆかりもない私が潜り込めるのだろうか。不安を抱きながら電話を掛けて働きたいと申し出てみると、開口一番「給料はいくら欲しいの? とりあえず事務所に来なさい」との返答をもらい、すぐさま現地に飛んだ。
周囲は遊園地を含めて閑散としており、あまり人の気配がない。オフシーズンとはいえ、近くの民宿やレストランも客はまばらだった。