11月6日、今年も山陰ずわいがに漁が解禁され食通たちの話題を呼んでいる。ずわいがにに限らず、日本人にとって「かに」は冬の味覚の王様だ。
宴会シーンや贈答の品として、年末年始を華やかに盛り上げてくれる人気の「かに」だが、ひと昔前は高価な上に目利きも難しいため、一般消費者にはなかなか手の出せない食材の一つだった。ところが昨今は通販の普及によって、個人でも新鮮で美味しいカニを気軽に取り寄せることが可能となっている。
一方で「かにの販売」に関連したトラブルも問題となっている。不正にカサ増しする目方詐欺や、名称、産地表示の偽装、また2~3年落ちで冷凍やけした商品の販売など、その手口は様々。10月31日にも、独立行政法人国民生活センターが「カニなどの魚介類の送りつけ商法」についての相談状況について発表している。
トラブルが起こりやすいのは、やはり需要が最も高まる年末シーズン。検索エンジンで「かに」の検索数は12月になると平常月の約10倍にもなるという。年末年始の多忙な時期に受注のピークを迎える商品だけに、消費者は被害に遭いやすいといえそうだ。 電話勧誘販売や送りつけ商法に代表される“カニカニ詐欺”の実害の一部を紹介しよう。
■送りつけ商法・・・注文していないのに勝手に魚介類が代金引換郵便などで送りつけられてくる。家族の誰かが注文したかと勘違いして支払ってしまう。
■電話勧誘販売・・・とくに高齢者を狙って電話で言葉巧みに誘導し高額な商品を売りつける詐欺行為。
・粗悪な商品や、電話先での話とは異なるものが届く。
・断っても何度も電話が来る。
・無料プレゼントといっていたのにお金を請求される。
・「魚は好きか」と聞かれて答えただけなのに、勝手に送りつけられる。
・電話口による恫喝。
■偽装販売
・異なる品種が送られてくる。
・外国産を北海道産として販売。
・注文した量と比べ、明らかに少ない。
・横物(密漁品)を訳ありで格安販売。
・小さい捕獲禁止サイズのかにを格安販売。
(出典:独立行政法人国民生活センター カニなどの魚介類の送りつけ商法から一部抜粋)
かにに限らず健康食品等でも高齢者を狙った同様の手口が問題となっており、すでに知られた詐欺ではあるのだが、被害は年々拡大している。
もちろん、かに販売そのものが危険なわけではない。堅実なサービスをインターネット通販で展開し着実に売り上げを伸ばしている業者もある。海産物の宝庫、北海道知床・羅臼に自社工場を持つ「かに親分」は、人気商品のたらばがにの累計販売数が初年度で70トンを突破したという。すでに飽和状態とも言えるかに通販業のなかでも好調な理由はどこにあるのだろうか。
「味はもちろんですが、かに通販でもっとも重要なのは、お客様が注文するきっかけとなったチラシやカタログの写真に嘘がないこと。届いたかにが写真よりも寂しかったら、お客様はまず戻ってきてくれません」(かに親分羅臼工場長・大津則勝さん)