第二次世界大戦の終結から70年となる来年に向け、中国政府は絶好機とばかりに対日包囲網を形成している。
中国は日本が国民党政府に降伏文書を手渡した9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と制定。今年9月3日には習近平国家主席らが出席し、北京郊外の「抗日戦争記念館」で大々的に記念式典を開催した。中国メディアは、「日本が過去の軍事侵略の歴史を否定、歪曲したり、軍国主義に回帰することを中国は決して容認しない」という習近平の相も変わらぬ発言を報じている。
その習近平は今年に入ってから積極的に動いていた。2月、ソチ五輪開会式に出席した習近平は国連の潘基文事務総長と会談。国連の創設を「反ファシズム戦争の勝利の結果」であると位置づけ、「来年は国連設立70周年であり、かつ、反ファシズム戦争と中国人民の抗日戦争の勝利から70周年でもある」と述べた。さらに国連が記念式典の実施を国際社会に働きかけるよう訴えた。
5月には上海でロシアのプーチン大統領と会談。来年9月3日、対日戦勝70周年を大々的に祝う共同行事「世界反ファシズム戦争と中国人民抗日戦争勝利70周年」を開催することで合意した。
中露と言えば、10月13日にロシアのメドベージェフ首相がモスクワで中国の李克強首相と会談して関係強化をアピールしたばかり。両国の密接な関係を評論家の宮崎正弘氏が解説する。
「米中関係が冷え込む中、中国にとって頼りになる大国はロシアのみ。今年5月にはロシアが30年間にわたって天然ガスを中国に輸出することが決まるなど、両国の蜜月ぶりをアピールしている。戦勝70周年記念式典の共同開催もその一環だろう」
大国・ロシアを味方につけた中国は勢いづいた。7月、台湾の馬英九総統は2015年に「抗日戦争記念館」と「慰安婦歴史展示館」を開設する考えを示した。明らかな北京政府へのすり寄りである。