「定着率をいかにあげるかという件に関しては、藤田さんが書いた本が役に立ちました。誕生日には社員一人一人に手紙を書くとか、社員の奥さんに直接ボーナスをあげるとか」
──彼の発言は出鱈目なようで、的を射ている。マックバーガーを食べ続ければ、日本人は百年もすれば金髪になるって言ってたけど、本当に男も女も金髪になっちゃった(笑)。
後日談がある。澤田率いるリヴァンプは2006年からロッテと共同でクリスピー・クリーム・ドーナツというドーナッツチェーンを展開しているが、同チェーンの日本展開の権利を争ったのが日本マクドナルドだった。権利は、一度は日本マクドナルドが獲得することになる。そのとき、藤田からこんな電話があった。
「澤田くん、君は頑張ったみたいだけど、あの権利は結局オレがとった。でも、(同チェーンの日本展開に関わりたいなら)君にはまだ二択が残されている。クリスピーの社長になるか、あるいはマクドナルドに来てオレの下で働くかだ、と(笑)」
いかにも藤田らしい殺し文句である。結局、その後、藤田が死去し、日本マクドナルドも経営が傾いたことから同チェーンの日本展開の権利は澤田が得ることになる。
※SAPIO2014年12月号