11月26日の横浜アリーナ公演を最後に、道重さゆみがモーニング娘。を卒業する。人生を支えた本に道重さゆみの写真集をあげる文学アイドルの西田藍は、自分の人生を変え、ロールモデルでもあるという道重の卒業を目の前にして、いま何を思うのか。「愛情が深すぎて、さゆ(※道重さゆみ)のことは表現が難しい」としながら、あふれる思いと、アイドル全般への愛を語った。
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――卒業の日が近づいていますね。コンサート当日は、泣いてしまいそうですか?
西田藍(以下、西田):泣くのかなあ。卒業が発表されて以来いろいろなことを考えましたが、今までありがとう、という慈愛の気持ちになりつつあります。もちろん、将来もアイドルとして存在してほしいんです。でももし、完全に引退したとしても私は受け入れると思います。さゆが決めたことなら、何でも受け入れられる感じになりました。
引退の話を聞いたときは、早すぎると思いました。でも、実際にそのときが近づいてみると、いいタイミングだったのかなと思うようになっています。今、モーニング娘。をやめたら伝説になると思うんです。
――どんな伝説になるのでしょうか?
西田:人間は成長すればどうしても大人の女性になってしまうけれど、かわいいイメージを残したまま卒業したかったと思うんです。私自身はきっと、大人になったさゆのことも好きでいます。でも、すべてのファンが大人の女性になっても好きでいつづけてくれるかはわからない。でも今なら、かわいい道重さゆみが強く印象に残ります。
モーニング娘。の道重さゆみのイメージを強く残したままいったん卒業し、休養したあと芸能活動を再開したら、モーニング娘。じゃないタレント・道重さゆみに変身しやすい。考え抜かれているなと、卒業が近くなるにつれ強く思うようになりました。
――道重さんには女性ファンが多いことも特徴ですね。
西田:さゆが女子に人気なのは、自分はかわいいと言い続けたことだと思うんです。バラエティ番組で「何を言ってんの?」と笑われながらも、ずっと自分はかわいいと言い続けていた。芸能人だからキャラとして言い続けたという見方もありますが、たとえそうでも、十代の女の子が自分のルックスを品定めされ続ける状況が続くのはきつい。私でも、ちょっと人前に出ただけで大変だなと思うことがあるのに、さゆは日本中の人に見られていたので。
――Berryz工房の嗣永桃子さんも自分を「かわいい」と言い続けていますが、違いますか?
西田:嗣永さんはもっと戯画的に、アイドル的にやっている。でも、さゆのキャラクターは毒舌も混ざっているから、どこまで本気なんだろうと思わせる感じになります。それでも自分のことを「かわいい」とめげずに言い続けているところが好きになったんです。
自分のルックスについて肯定的なことを言うことは、あんまり許されていない状況があると思います。どんな美人女優さんでも必ず謙遜しますよね。実際は自信があるのかもしれないけれど、絶対に言わない。なのに、キャラだとしてもかわいいといい続けた。そして、実際にかわいくなった。アイドルの中でも、さゆは異色の存在です。
――デビュー当時から道重さんのファンだったのですか?
西田:ファンではなかったですね。バラエティ番組に出始めたころからずっと気になる存在で、なんでこんな嫌な感じにふるまうのだろうとさえ思っていました。でも私の場合、最初にショックを受けたり気になったりすると、のちのち好きになる傾向があるんです。そのパターンの通りだんだん目が離せなくなり、改めてみるとすごくかわいかった。そしてコンサートへ行って、アイドルとして大好きになりました。