2010年2月の電撃引退から早5年。元横綱・朝青龍ことドルゴルスレンギーン・ダグワドルジ氏(34)は現在、モンゴルの首都ウランバートルで実業家としての日々を暮らしていた。ノンフィクションライター柳川悠二氏が近況について、現地独占インタビューした。
ウランバートルの中心部は高層ビルが軒を連ね、月単位で景色が変わるという。ここ数年で物価は高騰し、中古車店ではトヨタ・ランドクルーザーが大人気だ。ただし、急速に発展を遂げた中国同様、モンゴル人の運転マナーは劣悪で、上空はスモッグで覆われていた。
──日々変貌する同国では相撲人気にも翳りが見え始めている。空港で流れていた大相撲中継に誰も見向きもしていなかった。朝青龍が引退して5年、モンゴル人初の横綱という経歴がモノを言う時代ではなくなった。 昨夜のパーティーではビジネスパートナーを招いていました。いま、どのようなビジネスを考えていますか。
「日本だけでなく、中国、韓国、それに隣のカザフスタンやロシアと、グローバルビジネスをしたい。モンゴルには、農薬に汚染されていない土地がたくさんある。そこでソバや野菜を作りたいね。今年の3月から北海道の『きたあせ』というソバの品種の栽培をモンゴルで挑戦してみたら、これがうまかった。『朝青龍蕎麦』には手応えを感じているよ」
──横綱の功績があるのだから、朝青龍の名前を前面に押し出すようなビジネスも考えられるのでは。
「自分の名前で客が呼べるビジネスなんて、ちゃんこ屋ぐらいしかないよ」
──現在はモンゴルレスリング協会の会長を務め、スポーツ親善大使のような活躍も目立ちます。
「国の発展と共にスポーツは発展するからね。ビジネスで稼いだお金は、スポーツ界に流したいと思っている」