ブクブクと池の水面にあがる気泡。やがて姿を現わしたのは、尻子玉を手にした赤いカッパである。このカッパ見たさに、兵庫県・福崎町にある辻川山公園には週末ともなると数百人が訪れ、人だかりができる。
カッパは、現われたかと思うと5秒ほどで水面下に隠れてしまうが、「怖い~」と子供が泣き出すほど、恐ろしい容姿のインパクトは十分。
実は同町は、カッパの伝承を収集した民俗学者・柳田國男の出身地。カッパの正体は、町が柳田の自叙伝『故郷七十年』に登場するカッパをモチーフに、300万円かけて作った機械式のものだ。「怖い方が話題になる」と職員自ら造形を手がけて、狙い通りの“客寄せカッパ”となった。
機械式カッパは、9時から18時の間に30分おきに出没するが、池のほとりにはもう1匹、皿の水がなくなって動けなくなったカッパも待ち構える。
撮影■WEST
※週刊ポスト2014年12月12日号