後世に名を残すような剛腕社長が少なくなったといわれて久しいが、今年は珍しく経営者にスポットライトが当たった1年だった。アメリカ型CEO(最高経営責任者)の如く、他企業を渡り歩く“プロ経営者”の存在が日本でも脚光を浴びたからだ。
日本コカ・コーラから資生堂に転じた魚谷雅彦氏、マクドナルドからベネッセに請われた原田泳幸氏、そしてローソンからサントリーへと華々しい転身を遂げた新浪剛史氏はその筆頭格だ。
だが、3人とも改革は道半ばで、プロのお手並みを評価する段階には至っていない。産業能率大学が行っている年末恒例調査「社長が選ぶ 今年の社長2014」(12月3日発表)でも、トップ10の上位を占めたのは新顔ではなく、常連ばかりだった。
1位は2008年以降の調査で4回もトップに輝いているソフトバンクの孫正義氏。「常に時代をリードしている」(57歳/情報通信業)、「チャレンジスピリッツに溢れている」(50歳/サービス業)と、孫氏の積極的な経営手腕を評価する声が依然高いことがうかがえる。
2位はトヨタ自動車の豊田章男氏、3位はユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井正氏と、これまたお馴染みの顔だった。
ちなみに、前出のサントリー・新浪氏は5位。初のトップ10入りを果たした社長は、『ハリー・ポッター』の新エリアオープンで過去最高の入場者数を記録しているUSJのグレン・ガンベル氏(同率5位)、子会社が開発したエボラ熱対策の治療薬が国際承認される見通しの富士フイルム・古森重隆氏(9位)、新型のディーゼルエンジン車が売れたマツダの小飼雅道氏(同率9位)と、社長の知名度よりもむしろ業績が評価される結果となった。
ここからは当サイトでも恒例となった、経済誌『月刊BOSS』編集長・関慎夫氏による、<産能大調査には入らなかったが、今年キラリと光る功績を残した社長>を選出理由つきで5人紹介しよう。