インターネットの登場以降、多種多様な人々と交流できるようになったと言われる。しかし、本当にそうだろうか? 実はネットでつながるのは、自分と同じような嗜好を持った人や、同種の職業にいる人ばかりになるという「タコ壺化現象」が進んでいるのだという。新刊『縁の切り方~絆と孤独を考える~』(小学館新書)を上梓したばかりのネットニュース編集者・中川淳一郎氏が解説する。
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インターネットがあるお陰で多種多様な人々と交流できる、という定説は誤りだ。結局、自らフォローする相手を選べ、検索で自分の心地良いものばかり探すことが可能なネットは、同じような考えを持つ人との接点を結局は作るもの。所詮「多種多様な人々の交流で新しい価値観が生まれる」なんてものはあり得ない。
私は以前、ツイッターで気になる発言をしている人々をリスト化し「ツイッター七福神」(7人)と「ツイッター身も蓋も無さズ」(8人)と名付けた。両方合わせて15人だったのだが、ツイッター上で気が合ったため実際にオフ会をすることに。すると、見事なまでに自分と同様に、メディア・広告関係者だらけだったのだ。ツイッターの場合であれば、自分にとってウザい人間はブロックしてしまえばいい。かくして均質な意見ばかりを見るようになる。
よく「私のタイムラインでは◯◯の話題ばかりだ」みたいな話が出る。タイムラインとは、自分がツイッターでフォローしている人のツイートが流れてくる画面のことをいう。フォローする人は自ら選べるため、いわば、「私のタイムライン」は自分にとって有益であったり、心地良いツイートをする人々の集合体ということだ。
たとえば、「ハフィントンポスト」という米発のニュースサイトが2013年5月7日に上陸した時のこと。このサイトは以前よりIT関係者から注目されており、日本版登場の日を固唾を呑んで見守っている人々が多かった。
日本の低俗なニュースサイトばかりが幅を利かせる中、インターネットの本場・アメリカ発で世界各国版も存在する巨大サイトであり、次世代ジャーナリズムの旗手とされているサイトだからだ。ただし、注目されているとはいっても、あくまでもIT・メディア・広告関係者中心である。確かに、私が普段使っているツイッターIDの一つ(フォロワーはIT・メディア・広告関係者中心)のタイムラインはハフィントンポストの話題だらけだった。