例年に比較して、大学生協に置いてある就活対策本が売れてないという。就活時期がずれた影響がある。だが作家で人材コンサルタントの常見陽平氏はあえていう。「就活本は大学生協で買え」。なぜなのか。
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先日、ある地区の大学生協さんの書籍担当者の勉強会で講演しました。皆さん、勉強熱心でした。呼んで頂き、感謝しております。
衝撃的なデータを見てしまいました。就活対策本の売上が対前年比で大幅に減少しているのです。直接的な原因は、就活時期の繰り下げでしょう。昨年までは大学3年の12月に採用広報活動開始で、この前後の時期に飛ぶように売れていたのが、今年は明らかに鈍化しています。大学4年生に上がる直前の3年の3月からスタートするわけですが、その頃、大学はお休みなわけで、みんなが大学生協で買うかどうかはわかりません。
もっとも、昨年度の売上に対して最終的にどうなるのか、まだわかりません。売れる時期が単純に繰り下げになっている可能性もありますし、その割に今の時期に売れているのではないかという見方もできるでしょう。
逆に、今の時期に買っているのはどんな人なのか、気になって質問してみたのですが、インターンシップを経験した学生で、就活に対してスイッチが入っている学生が買っているとのことでした。これは毎年の傾向ではありますが、早く始めた人は、ますます前のめりになるということですね。
もっとも、個人的には、就活時期のズレだけが問題ではないと見ています。そもそも学生が本を買わなくなっていることや、ネット上に就活対策のコンテンツが多数あることも原因でしょう。
さらに言うならば、就活対策本には相変わらずニーズがあるものの、現状の就活や、大学生の実態と、現在の就活対策本がズレているのではないかということが気になっています。今の学生の能力や気質を不安視しているわけではありませんが、やや使いこなすのに難易度が高い本なども多くないかなと思うわけです。売れ筋の『絶対内定』『四季報』シリーズ、SPI対策本にすらそう感じることがあります。就活対策本をしばらく書いていない私ですが、実に久々に今の就活に合った対策本を書こうかなと思ったりしています。
もっとも、毎年、就活事情の変化に合わせて柔軟に対応するのも難しいですし、どんな学生をターゲットとするのか、その設定も悩ましいところですが。
さて、就活対策本に限らずですが……。実は、本は「どこで買うか」というのが問題だと私は思っています。
いや、本はどこで買っても、商品は同じはずです。例えば、『進撃の巨人』の最新刊は、大学生協で買っても、近所のTSUTAYAで買っても、駅の書店で買っても、Amazonや楽天で買っても、モノとしては同じであるはずです、商品としては。
でも、なぜ、買う場所が大事なのでしょう。ちゃんと理由があります。それは、値段、品揃え、そして商品に関する知識の違いなどからです。そして、就活対策本においては、これらの点から考えると大学生協で買うのが、最もおすすめなのです。