12月26日に開幕したフィギュアスケートの全日本選手権。五輪王者・羽生結弦が引っ張る男子と対照的に、27日から始まる女子は「エース不在」だ。浅田真央、鈴木明子、安藤美姫ら、世界で実績を残した選手らが休養あるいは引退を宣言する中、誰が勝っても“初めての女王”誕生となる戦いが幕を開ける。注目は、ソチ五輪に出場した村上佳菜子(20)らシニア勢と、彼女たちに挑む樋口新葉(わかば・13)らジュニア勢との戦いだ。
今年の全日本ジュニアチャンピオン、中学2年生の樋口が注目を集めている理由はいくつもある。ジュニア初参戦となる今年、187.95点という圧倒的なスコアで全日本ジュニア選手権を制した。中学2年での優勝は、安藤、浅田以来3人目の快挙であり、その後、初出場したジュニアグランプリファイナルでも3位表彰台と健闘。そんな樋口の持ち味は、ジャンプだ。ソチ五輪金メダリストのソトニコワやキム・ヨナらが得意としたルッツからの3回転連続ジャンプをダイナミックに決め、高得点を叩きだしている。また、すでにトリプルアクセルや4回転も練習中だという。
「“(伊藤)みどり2世”という言葉がこれまでたびたび使われてきましたが、この言葉が一番ふさわしい選手を挙げるとしたら、おそらく樋口選手でしょう。ジャンプの質やタイプがみどりさんと似ている。豪快なんです。13歳で臨む全日本は緊張すると思いますが、高さ・幅・スピードの3拍子揃った素晴らしいジャンプを、ぜひ決めてほしいですね」(フィギュアスケート関係者)
表彰台に乗ることができれば、全日本初出場で3位となった安藤以来となる。
現行ルールでは、全日本ジュニア選手権の上位6人が全日本選手権に出場でき(ジュニアの下位カテゴリーであるノービスの選手が上位に入った場合は除く)、樋口だけでなく、美しいスケーティングと優雅な身のこなしが魅力の永井優香(16)ら、全日本初披露となる若きスケーターらの躍進も期待される。現在、世界の女子フィギュア界を席巻するのは10代のロシア勢だが、日本の10代も熱いのだ。
ちなみにフィギュアスケートにおけるジュニアカテゴリーは「13歳から18歳」までで、シニアは「15歳以上」(7月1日時点の年齢)。シニア移行へのタイミングは選手が決めるため、15歳でシニアの選手もいれば、18歳でジュニアの選手もいる。この「15歳」はオリンピックの出場資格年齢でもあり、現在13歳の樋口も平昌五輪の出場資格を年齢的にはクリアしている。