今年もなんだかんだいいながら紅白歌合戦を見てしまう人も多いはず。大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が「大人としての紅白の楽しみ方」をお届けする。
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なんだかんだ言っても、まだまだ「紅白歌合戦」は大晦日の夜の定番です。久しぶりに家族がテレビの前に集まって、あるいは帰省した実家で親や兄弟といっしょに見るケースも多いでしょう。それなりにいろいろあった2014年を華麗に締めくくるべく、「紅白歌合戦」を鑑賞しながら大人力を見せつけて、家族や親兄弟を感心させましょう。
第65回となる今年の紅白の司会は、紅組が朝ドラの「花子とアン」に主演した吉高由里子、白組が5年連続5回目の嵐、そして総合司会が去年に続いての有働由美子アナです。
例年話題になるのが、紅組の司会を務める若手女優の危なっかしい進行ぶりや曲紹介の棒読み具合。今年もそうとは限りませんが、もしも吉高由里子が、伝統にならった司会ぶりを見せてくれたとしても、「おいおい」と批判するのは大人として浅はかです。
「やっぱり、若手女優がいっぱいいっぱいになって司会している様子を見ないと、大晦日っていう気がしないよね」
そんなセリフを鷹揚に呟けば、器のデカさや大人としての成熟度を見せつけられます。親御さんも我が子の成長に目を細めてくれるでしょう。有働アナが去年のように、やや無理のあるセクシーなドレスで登場した場合も、呆れるのではなく「がんばってくれて、ありがたいよね」と画面に向かって拝む真似のひとつもするのが、大人の包容力です。
「紅白歌合戦」がありがたいのは、子どものころから当たり前のようにあって、家族みんなの共通の思い出になっているところ。「~といえば」という前置きで、過去の紅白の記憶を話せば、みんなで懐かしい気持ちを共有できます。「そうそう、あったね!」と共感を呼びやすい印象的なエピソードといえば、たとえばこのあたり。
「坂本冬美(今年26回目の出場)といえば、森口博子や西田ひかるといっしょにセーラームーンをやったことがあったね。超ミニで」(1993年の紅白。坂本冬美は当時26歳)
「和田アキ子(今年38回目の出場)といえば、初出場で『笑って許して』を歌ったときに、紅組の歌手が集まってきて、曲の合間に『アッコ!』って合いの手を入れてたよね。水前寺清子とか……あと誰がいたっけ?」(1970年の紅白。和田アキ子は当時20歳)
「紙吹雪といえば、忘れられないのは北島三郎だよね。『風雪ながれ旅』を歌いながら、紙吹雪が口に入ったり鼻の穴にくっついたりしてたのはいつだっけ」(何度か似たような事態が起きたが、最初にしてもっとも強烈だったのは1981年の紅白。北島三郎は当時45歳)