2014年はディズニー映画「アナと雪の女王」や、「妖怪ウォッチ」などエンターテインメントのヒット作に恵まれた1年だった。映画やアニメの映像だけでなく、関連商品も飛ぶように売れ、子供より親が熱心に“グッズ集め”をする光景も数多く見られた。
そんな今年の消費傾向には共通するキーワードがある――と語るのは、日経BPヒット総合研究所上席研究員の品田英雄氏だ。
4月の消費増税で節約志向が高まったとの調査も出る中、キャラクターグッズは例外とばかりに消費者の財布のヒモが緩んだのはなぜなのか。その背景にある世相とともに品田氏に分析してもらった。
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エルサやオラフといった「アナ雪」のキャラクターグッズ、「妖怪ウォッチ」の時計やメダルが人気になったのは、これまでテレビやゲーム機の中でしか楽しめなかったエンターテインメントのバーチャルな世界がリアルな世界と融合したからです。
アナ雪の映画を見ながら主題歌を一緒に歌う子供の動画が投稿サイトにアップされたり、妖怪ウォッチの「ようかい体操第一」を運動会で披露したりと、誰もが主役として参加できる楽しみ方が広がったのです。
こうしたアニメのグッズが値段の大小に関係なく売れているのは、日常とは関係のない商品だからと捉えることもできます。
アベノミクスの影響で生活が豊かになったかどうかは別にして、「くすぶっていても仕方がない。何か生きる手応えを得るために一歩踏み出そう!」という前向きな気持ちが、非日常のモノを買う消費行動に結び付いたのかもしれません。
しかし、その一方で生きる手応えを得ようと危険ドラッグに手を出したり、イスラム国の戦闘員に加わろうとした大学生が出たりと、身の回りにあるエンターテインメントよりもっと過激に欲望を満たそうとする人が出てきたのも事実。まだまだ時代の空気には閉塞感が漂っている証拠です。