年越しの風景としてなじみ深い除夜の鐘だが、最近はみずから鐘をつきたいと希望する人が増えている。街歩き雑誌の年越し特集号やネットで情報を集め、プランを立てる人が減る様子はなく、集まりすぎる人に対応するため、108回を超える回数、鐘をついている寺院もある。港区芝にある浄土宗大本山増上寺でも「近年は、一般から希望される方が増えています」(増上寺施設部接伴課・吉田龍雄さん)という。
「増上寺では、一般の方に除夜の鐘をついていただく場合は一人2000円のチケット制になっているのですが、頒布してから定員に達するまでが短くなりました。とくに目立つような告知をしているわけではありませんが、関心が高まっているなと感じます。
増上寺の鐘はかなり大きいので撞木(しゅもく)というつく棒も大きいです。除夜の鐘をついていただくときは、これにひもを6本つけて一般の方4名、後ろに僧侶が2名つきます。『1、2の3で揺らして、ついてください』とご案内ののち、ついていただきます。撞木が鐘にドーンと当たり反動がつくと、止めるのにかなり力がいるんです。止めないとドーン、ドーンと何度かついてしまう。二度つきを防ぐために後ろで僧侶が止めています」(前出・吉田さん)
大晦日の増上寺では、およそ21時過ぎから本堂などすべてのお堂で納めの法要をし、23時から浄梵会(じょうぼんえ)というおたきあげの法要が始まる。除夜の鐘108打のうち、107打を年内に、108打目は新年につくと言われるが、増上寺は1打目を12時ぴったりに大僧正がつき、2打目以降を参拝者がつく。
「鐘をつく時間は、1組あたりおよそ50秒くらいです。最近は、記念写真を撮りたいという方も少なくありませんので、そうすると少し時間がかかります。108打目まで終わるころには、1時40分くらいになっていますね」(前出・吉田さん)