反対に、どうしても見続けることができなかったドラマもあります。「ママとパパが生きる理由。」(TBS系木曜日午後9時)は、2人の子どもを持つ夫婦がほぼ同時にガン宣告を受ける、という実在の夫婦の話が原作。吹石一恵と青木崇高が演じた夫婦は、とてもリアルで演技は上手で心をこめて作っていた。丁寧なドラマだということは、ひしひしと伝わってきました。たとえ悲惨な筋であっても明るい雰囲気で進行させていこうとする、けなげな努力も、高く評価できました。けれども……。

 子どものいる夫婦がともにガンになる、という基本設定自体が、どうしても受け入れがたかった。辛すぎて、ついていけなかった。つまり、共感が入り込む隙があまりになかったのです。

 もう一つ、途中で挫折してしまったのが小栗旬主演「信長協奏曲」。フジテレビの「月9」では初の時代劇と注目されたドラマ。スニーカーを履いた高校生が戦国時代へワープとはちゃめちゃな設定。織田信長を一人二役で演じ分けた小栗旬の力量には脱帽。ドラマというフィクションの世界でしか、表現できない飛躍、あり得ないことを楽しませる徹底した娯楽性には大いに拍手を送りつつも、しかし途中で断念。

 それはきっと、「信長・秀吉」というお定まりの図式にはまりすぎていたのでは。歴史ものといえば戦国時代。武将といえば、信長・秀吉という人物配置と構図が固まり過ぎていて、こちらの共感が入り込む隙がなかった。

 ドラマとは、いったい何なのでしょう? 考えさせられました。共感、問いかけ、そして、明日を生きる力。どんなスタイルのドラマであっても、その3つの要素をきっちり押さえてくれていれば、ぼっち視聴者はついていく。2015年のドラマ、大いに期待したいと思います。

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