2015年の仕事始めを前に、働く女性たちの中には憂鬱な気分になっている人もいるかもしれない。
昨年は政府が成長戦略で掲げている「女性登用」の機運が高まり、女性管理職の割合を数値目標で明示する企業が相次いだ。しかし、一方で仕事と家庭の両立に悩む女性社員の内情が大きくクローズアップされ、マタハラ(マタニティハラスメント)の被害件数も増えた。
では、男性上司は働く女性の“妊活”予定をどこまで聞くことができるのか。社会保険労務士の稲毛由佳氏が解説する。
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昨年は女優の松たか子さん、弁護士の大渕愛子さんと、仕事がノリにのっている時期の「アラサー女子」のおめでた報道が相次ぎました。
晩婚化に伴い、第一子を生む女性の平均年齢も上昇し、今や、30.4歳。責任ある仕事を任され、仕事が面白くなってきた時に、妊娠・出産を迎える女性が増えています。
その一方で、女性が抱く女性管理職へのイメージは最悪です。
主婦に特化した人材サービスを手がける「しゅふJOB」のアンケート調査によれば、管理職を「希望する」のは、わずか、2.7%。「希望しない」が44.9%で、約半数の女性が管理職になりたがらないのが現状です。
理由は明白で、家庭と仕事の両立への不安です。先のアンケートでも、約7割の女性が、女性管理職に対して「家庭と仕事を両立しづらい」という回答を寄せているのです。
法律では、出産をめぐり、一定期間の休みとお金が確保されています。まず、ママの「産休」です。
出産予定日の6週間前から「産前休業」といって、会社に希望を出せば、必ず休みが取れます。出産日翌日から8週間は「産後休業」。産後6週間は、産後6週から8週までは、医師が働くことを許可しない限り、休みが取れます。
子供が1歳になるまでは、希望者はママとパパ、いずれも「育休」が取れます。お金のほうは、産休中は「出産手当金」といって、健康保険から給料の約6割、育休中は最初の6か月間は67%、その後は50%のお金が雇用保険から支給されます。
しかし、育休と産休が法律でしっかり守られていることが、かえって裏目になることも。
会社は産休・育休を取らせなければ、罰せられるということがわかっています。下手なことを言えばSNS等に書き込まれて、世間の非難にさらされかねません。
そのため、最近は、妊娠を告げたら、「退職を勧められた」、「役職を外された」、「正社員からパートに変更させられた」といったわかりやすいマタハラは減っていますが、
「課長への内示を受けるとき、『妊娠、大丈夫だよね』と、妊娠しないことを昇進の条件に付けられた」
「妊娠を報告したら、『君がいないと、困るんだよね』と、イヤミを言われた」
など、暗に妊娠を禁じるマタハラへと、陰湿化する傾向があります。