年金を受け取っている高齢者の受給額が死ぬまで減らされる。安倍政権が「マクロ経済スライド」を今年から発動することが原因だ。マクロ経済スライドとは簡単にいえば「年金自動カット装置」であり、たとえば物価が2%上がっても受給額は1.1%しか上げないという仕掛けになっている。さらに今後はデフレ下でも適用することを検討している。
こうなると自分が受け取る年金額など、さっぱりわからない。
週刊ポストが老後のお金を徹底解説した増刊『丸ごと一冊 老後のお金すべて解決』では、マクロ経済スライドで減らされる額を独自試算し、「現在の年代別」「現役時代の平均月給別」に100歳まで月額でいくら受け取れるかをシミュレーションして早見表にまとめた。
ただ、受給額を知っても、政府による年金カットを指をくわえて見ているだけでは老後の厳しさは変わらない。同誌では世代別・タイプ別の「年金増額プラン」を紹介しているが、その中から今後の制度変更が見込まれる「401k(確定拠出年金)」を徹底利用する方法を紹介する。
401kとは、毎月一定額を金融機関に払い込み、自ら運用して老後に受給する「自分年金」のこと。企業型と個人型があり、現在、個人型の制度拡充が検討されている。年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が解説する。
「2015年度の税制改正大綱では、個人型401kの対象者が拡大されます。これまでは自営業者や、企業年金に加入していない中小企業の会社員が対象でしたが、勤め先に企業型年金がある会社員、夫が会社員の主婦、公務員にも門戸が広がります」
施行は早ければ2016年の予定だが、ほぼすべての20歳以上60歳未満の人が401kに加入できるようになる。401kの最大のメリットは税制上の優遇だ。
「まずは毎月の掛け金は全額所得控除が受けられます。運用益も非課税です。さらに受給額には公的年金等控除が適用され、納税額が安く済みます。払う時、運用している時、受け取る時の3段階で大きな節税メリットがあるのです」(北村氏)